『スーパーカブ』
私には何もない。
と思っていた。
ひとりぼっちの女の子と、世界で最も優れたバイクが紡ぐ、友情の物語。
山梨県北杜市の高校に通う女の子、小熊。
両親も友達も趣味も無い、何も無い日々を過ごす彼女だが、ふと見かけた中古のスーパーカブを買ったことで、ちょっとずつ短調な毎日が変わり始める。
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第1話 ないないの女の子
朝目を覚ましそそくさと朝食を済ませ、お弁当を用意し家を出る。親はいない、お金もない、趣味もない、友達と呼べる人も将来の目標もない、「ないないづくし」の女子高生「小熊」。そんな彼女がたまたま立ち寄った場所、「バイクショップ」。そこで出逢ったのは古びた1台のバイク、後に小熊の生活を一変させる「スーパーカブ」だった。
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第2話 礼子
「スーパーカブ」との生活が始まった小熊。まだぎこちなさが残るも「スーパーカブ」の扱いにも段々と慣れてきた。小熊が「スーパーカブ」に乗っていることを知った礼子。「スーパーカブ」を見せて欲しいという礼子に困惑する小熊は、放課後ならと渋々承諾する。
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第3話 もらったもの
「スーパーカブ」のエンジンをかけ、ヘルメットを被り、グローブをはめて、朝8時過ぎに家を出る。小熊の1日が始まった。「スーパーカブ」との生活も慣れてきた一方で、礼子との関係はまだぎこちない。今日も「スーパーカブ」と一緒に昼食を食べる二人。礼子の「郵政カブ」の荷台に設置された「箱」に興味を持った小熊。そんな小熊を礼子はある場所に連れて行く。
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第4話 アルバイト
「スーパーカブ」に乗り始めて初めての夏。礼子は夏休みにでっかい事をしたいと言う。一方小熊は「学校書類の運搬業務」をすることに。「スーパーカブ」で学校間の重要書類の運搬である。運搬業務の前日、小熊はオイル交換をするため再びシノさんのお店を訪ねる。
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第5話 礼子の夏
礼子の自宅に招かれた小熊。そこで目にしたのは傷だらけになった礼子のカブだった。少し気になりながらも、料理をし始める小熊。食事中、礼子が話し始める。夏休みの間、「近くて遠い場所」に行っていた、と。
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第6話 私のカブ
いつもの教室。明日からの修学旅行を控え、パンフレットを眺めながらニヤける小熊。礼子も旅行雑誌を食い入るように読んでいる。帰宅後の夜、自宅でもパンフレットを眺めながらニヤける小熊。ところが、翌朝、発熱し体調を崩す。落胆した小熊は、仕方なく学校に欠席の連絡を入れる。
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第7話 夏空の色、水色の少女
季節は初秋を迎え、校内は文化祭を前に不思議な熱っぽさを帯びていた。文化祭の準備に勤しむ恵庭椎。そんな椎を横目にカブの冬支度に備えてバイク用品のお店に立ち寄る小熊と礼子。昼休み。いつものように昼食を食べに行こうとする二人は、ちょっとしたトラブルに遭遇する。
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第8話 椎の場所
寒さは一段と厳しさを増していた。そろそろ外で昼食を食べるのも辛くなってきた小熊と礼子。放課後、椎から彼女の両親が営んでいるカフェに誘われる二人。そんなカフェ「ブール」はドイツ風パンを作っているお店。どうやら礼子はこのお店の常連のようだ。
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第9話 氷の中
凍えるような寒さの中、登校する小熊。「やっぱりあれを買うしかない!」という小熊に、「あれだけは絶対に嫌っ!」という礼子。昼食。椎からの差し入れで温まる二人。帰り道、椎は自宅のカフェに二人を誘う。どうやら二人に防寒対策として薦めたいものがあるようだ。
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第10話 雪
学校も冬休みに入った。寒さ対策も万全の小熊。これで自由にスーパーカブで走り回れる、今まで通りいつでも、どこまでも。朝目を覚ますと外は雪に覆われた銀世界が広がっていた。スーパーカブに乗り始めて初めての雪だった。
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第11話 遠い春
小熊の家で夜ご飯を食べる小熊、礼子、椎の3人。後片付けの手伝いをする椎。「この冷たくて暗い冬を、どこかに消して欲しい」と懇願する椎に、出来ないと話す小熊。翌日も寒々しい街と平穏な日々が続く。
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第12話 スーパーカブ
遠くの場所で桜が咲いている。春はそこまで来ている。桜を見に行く計画を立てた3人は、早朝、旅支度をして北杜市を出る。私たちは今日旅に出る、スーパーカブと共に。