『UN-GO』
探偵は二人組。
人呼んで最後の名探偵、結城新十郎。
そして、相棒の因果。
わけあって世の謎と真実を解き明かす探偵業。
西に刺殺された金持ちあれば行って犯人をあぶり出し、東に呪いで死んだ男あれば呪いではないと証明する。
因果の協力と新十郎の推理。
二人の不思議な絆が力を発揮する時、解けない謎はない。
――なんて、いつもカッコつけちゃいるけれど、なかなか思うようにならないことも多かったりして。
それでも二人は吸い寄せられるように、事件に立ち向かっていく。
「しかし私が呼ばれたってことは、なにか事件が起きるということですよ。大事件がね」
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第1話 舞踏会の殺人
復興特需で不正の疑惑がかけられた加納グループの加納信実社長。自らの潔白を証明するため自宅で盛大なパーティーを開いた。その会場に現れたのは「敗戦探偵」と呼ばれる結城新十郎と相棒の少年・因果。さらにそこにはJJシステム会長・海勝麟六の娘・梨江と、検察庁連合調整部の虎山泉の姿もあった。そして衆人環視の中、加納は刺殺される。
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第2話 無情のうた
あるお屋敷から無許可タクシーに託されたトランク。その中にはその屋敷の主人・長田久子の死体が入っていた。海勝麟六の推理に基づき、容疑者を荒巻の捜索が始まる。だが新十郎が出会った長田久子の娘・安は、荒巻は犯人ではないという。では、真犯人は何者なのか。そして「夜長姫の秘密」とは。新十郎の推理が始まる。
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第3話 覆面屋敷
新十郎の下を梨江が訪れる。梨江は、佐々家で起きた謎の事件を新十郎に解き明かしてもらおうと思ったのだ。死んだのは佐々家の当主・佐々風守。風守の父、駒守は人工知性の天才研究者だったが、戦時中に弾圧を受け、その中、爆死をとげていた。そして7年後、息子の風守もまた突然爆死したのだった。他殺か、自殺か、それとも呪いか……。
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第4話 素顔の家
佐々家の先代、佐々駒守は人工知性の研究者としてREAL AI―R.A.I―と呼ばれる画期的な人工知能を開発したが、政府から禁止され葬り去れてしまった。新十郎の推理は過去にまで遡り、佐々家の隠された真実を露わにしていく。だが、それでも残る謎。そんな時、ある出来事がヒントとなり、新十郎の感じていた疑問が氷解する!
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第5話 幻の像
戦時中、身を挺してテロを防いだ三人の学生。終戦後、タブーとして語られることがなくなった三人を讃えるブロンズ像の除幕式が行われた。主催は三人の学生が参加した政治結社「日輪の会」の主宰・島田白朗。そのブロンズ像の空洞内から2つの死体が発見される。除幕式に招かれていた新十郎は、死体を目前に、この不可解な事件に巻き込まれる。
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第6話 あまりにも簡単な暗号
新十郎のもとを民間刑務所を出たばかりの男・矢島が訪れた。海勝の古い友人である矢島が依頼したのは暗号解読。矢島が入手した海勝の蔵書の中に、数字が羅列された矢島特注の原稿用紙が挟み込まれていたのだ。解読された暗号は、待ちあわせ場所を指定する内容。矢島の服役中に矢島の妻と海勝が情を通じるようになっていたのではないか。ならば、ある日突然行方不明になったという矢島夫妻子の子供たちの行方は?
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第7話 ハクチユウム
結城新十郎、職業・映画カメラマン。撮影中の『白痴たち』は、戦争に巻き込まれた現代の日本を舞台に、それぞれ別の場所から逃げてきた3人の少女が、一人の男に愛され、半壊した家の押入で暮らしているというストーリー。やる気のない三高吉太郎監督にかわり、主演女優たちの熱意に応えようと新十郎は熱心にカメラを回す。そんなある日、三高監督が殺される。監督と最後に会った人物は新十郎。犯人は新十郎なのか。
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第8話 楽園の王
行方不明になった新十郎をネットで探した風守は、民間刑務所「東関東社会復帰促進センター」の中に新十郎がいることを知る。新十郎は、かつての事件に関係して“小説家”を名乗る犯罪者に面会するためその民間刑務所を訪れたのだった。新十郎の行方は、梨江を通じて麟六、虎山、速水の知るところとなる。刑務所に向かう虎山に、強引についていく梨江。そして2人は面会室でまず、新十郎が会おうとした“小説家”に面会する。
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第9話 海勝麟六の犯罪
フルサークルを名乗るクラッカーがJJシステムズに標的を定め攻撃を始めた。フルサークルはJJシステムの社内資料を流出させ、海勝麟六のプライベートも暴露する。そんな逆風の中、海勝がTVの討論番組に出演することになった。番組の共演者は海勝に批判的な政治家、ライバル企業経営者、暴露本を書いた評論家たち。フルサークルは「海勝が自分に敵対するものを集めて殺害するつもりだ」という情報をネットでばらまく。そして、番組がスタートした直後、TV局で爆発事故が発生した。出演者を含み、死者行方不明者8人。海勝もまた重傷を追い、病院に収容される。世間は、海勝こそ真犯人だと噂する。別天王の行方を追っていた新十郎を病院に呼び出した梨江は、海勝の無実を証明してほしいと依頼する。「このオレが海勝の無実を明かすことになるとはね」。新十郎の捜査が始まる。
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第10話 海勝麟六の葬送
因果が姿を消した。だが、新十郎は一人で真実を求め続ける。TV局爆破事件を調べるうちに、海勝が別天王を使っていると疑う新十郎は、真実を明らかにするため、一計を案じる。予算委員会で行われる海勝の参考人招致。病院からモニターを通じて出席するようにすれば、言葉で人を操る別天王の力は封じることができるはずだ。厳しい追及を難なく退けた海勝は言う。「真実など無数にある。一つの真実で満足するのは、そこで考えるのを止めるにすぎない」。その言葉に怒りを感じた新十郎は思わず海勝を問いただし、切り札として梨江に証言を求める。梨江は語る。「TV局が爆発した直後、私は自宅で父を見ました」。TV局の海勝は、別天王が生み出した幻だったのか。そこに因果が姿を現す。因果が真実を語るようにと迫るのは、思わぬ人物だった。
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第11話 私はただ探している
新十郎たち関係者の手元に届けられた謎の招待状。「爆破事件の真犯人を明かすパーティーにご招待します」。そこに記されたのは「麟」の一文字。爆破事件の現場となったテレビスタジオに関係者が集められる。またこんな茶番を仕掛けたのかと怒る泉に、新十郎は答える。「私も呼ばれたんですよ。つまり、なにか事件が起きるってことだ、大事件がね」。爆破事件は海勝の陰謀だったのか。新十郎、最後の推理が始まる。そして、因果と別天王の正体と対決。すべてが明らかになった時、新十郎、因果、梨江の関係は……。