- 地域:日本
- タイプ:TV
- 正式名称:獣の奏者エリン
- 英語名:Kemono no Souja Erin / The Beast Player Erin
- 中国語の名前:兽之奏者艾琳
- 他の名前:兽之演奏者艾琳
- 放送開始:2009-01-10
- 放送状況:放送終了
- タグ:幻想 / 癒し / 剧情 / 小説改
- 原作:上橋菜穂子
- 監督:浜名孝行
- シナリオ:布施木一喜 / 後藤みどり / 谷村大四郎 / 吉田玲子 / 藤咲淳一
- 絵コンテ:安藤貴史 / 新留俊哉 / 柿本広大 / 布施木一喜
- 演出:筑紫大介 / 安藤貴史 / 柿本広大 / 高島大輔 / 布施木一喜
- 制作会社:Production I.G / トランス・アーツ
- 家族:獣の奏者エリン
- Rating:12+
『獣の奏者エリン』
決して人と心が通じないと思われていた崇高な獣「王獣」を操ることができる類まれな才能を持ち合わせた少女・エリン。
彼女は、その才能を持つ故に、王国の勢力争いに巻き込まれ、波瀾万丈の人生を送ることになる…。
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第1話 緑の目のエリン
エリンは獣ノ医術師をしている母・ソヨンと暮らす10歳の少女。その目は医術や薬学に秀でた霧の民の特徴である緑色だった。二人が暮らすアケ村は戦の道具として使われる闘蛇(とうだ)を育てる特別な村。闘蛇はおそろしい生きものなのに、エリンは怖がるどころか、興味を持つばかり。それはソヨンのような獣ノ医術師になりたいという夢があるからだった。ある日、飼っていた闘蛇の赤ちゃんが逃げ出してしまい村中が大騒動になってしまう…。
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第2話 医術師のソヨン
戦の道具である闘蛇を育てるアケ村は特別な村。そのため行商人や役人以外の旅人が訪れることは滅多になかった。ある日、エリンがヤギの世話をしていると、病気になった闘蛇をつれた武人がやって来た。戦場から戻った途端餌を食べなくなってしまったと言う。その治療を任されたソヨンは、原因を調べ始めるが、なかなかつかめない。エリンもソヨンを手伝おうとするが…
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第3話 闘う獣
アケ村で飼われている闘蛇の中でも勇猛で特別な闘蛇はキバとよばれていた。そのキバをつかった軍事教練がおこなわれることとなった。戦う闘蛇の姿をみたことのないエリンと、幼なじみのサジュとチョクの三人は大人たちに内緒で訓練を覗き見ようとする。教練場には大公とその息子であるシュナンとヌガン、王族のダミヤが視察に訪れていた。そして激しい教練がはじまる。
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第4話 霧の中の秘密
アケ村から他の闘蛇衆の村に花嫁に出て行くサジュの姉・ソジュ。きれいな花嫁衣装にエリンもうっとり。だがそのソジュはチチモドキの毒にあたり、高熱を出してしまう。闘蛇衆同士の結婚は村にとっても成功させなければいけない一大事。チチモドキの解毒のためにソヨンは霧の民がおこなってきた霧の市を使うことを提案する。ソジュを助けたい一心から、エリンはソヨンとともに霧の市に向かうことになるが…
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第5話 エリンと卵泥棒
年に一度行われる闘蛇の卵狩り。アケ村の闘蛇衆は、ラゴウの沼から野生の闘蛇の卵をとってきて育てることになっていた。エリンは卵狩りにはじめて参加することを許される。静かなラゴウの沼で闘蛇の卵をさがす闘蛇衆たちは、野生の闘蛇の気配にをどこか緊張している様子だった。そんな闘蛇衆たちの様子をものかげから伺う怪しげな二人組がいた。なんと彼らは闘蛇の卵を狙う卵泥棒だった。
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第6話 ソヨンのぬくもり
ある夜、アケ村に闘蛇の弔い笛が響く。かけつけたエリンたちが目にしたのは、死んだ“キバ”の姿だった。“キバ”は大公から預かった最も大切な闘蛇。そしてその死は、村が取り潰しにあってもおかしくないほどの大罪。死因すら特定できない状況のなか、集会では死なせてしまった罰は世話をしたものが受けなければならないということに。それはエリンの母ソヨンだった・・・。
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第7話 母の指笛
キバを死なせた罪で監察官に連れて行かれてしまったソヨン。エリンはサジュの家に預けられ、ソヨンが帰ってくるのを待っていた。しかしある夜、エリンはソヨンがラゴウの沼で闘蛇の裁きにかけられることを耳にする。心配になったエリンは、闇の中ラゴウの沼へと走り出す。そして早朝、静かなラゴウの沼では闘蛇の影がうごめきはじめる。エリンはなんとかしてソヨンを助けようとするが・・・。
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第8話 蜂飼いのジョウン
ソヨンの手で闘蛇の背に乗せられたエリンは、アケ村からはるか遠いところにある真王領の川岸に流れ着く。そこで蜂飼いのジョウンという男に助けられるが、傷と疲れのために高熱をだし、意識がないままであった。ジョウンはエリンを自分の小屋へと連れ帰り看病を続ける。意識の戻ったエリンは、窓から見える木に吊り下げられたサナギを見て、亡きソヨンとの暮らしを思い出し悲しみに暮れるのだった。
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第9話 ハチミツとエリン
蜂飼いのジョウンと一緒に暮らすことになったエリン。ジョウンの家には見たこともない道具がたくさんあった。不思議そうにそれを見るエリンに、自分の宝物を見せてやると外に連れ出すジョウン。エリンは興味しんしんでジョウンの後についていく。途中、ジョウンの宝物の一つ、めす馬のトッチとヤギのノロと会う。そしてエリンはいろいろな花々が咲きみだれる場所で不思議な光景をみるのであった。
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第10話 夜明けの鳥
山の暮らしに必要なものを買い揃えるため、街へ出かけたエリンとジョウン。エリンは生まれて初めて見る大きな街の賑わいに驚く。楽師達の演奏を楽しんでいた時、エリンは道の端で美しい音色で竪琴を弾く青年に気付く。青年が弾く曲が気になるエリン。しかし、青年は曲名を告げるとエリンの前から姿を消してしまった。エリンとジョウンが食品の店を訪ねると、女店主が病に倒れていた。そこに役人に追われた女店主の息子がやってきて…。
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第11話 とびらの中に
夏の間、カショ山にあるジョウンの「夏の小屋」に移動することになったエリンとジョウン。家を空ける前に、片付けをすることにした。奥の部屋を掃除しようとするエリンに、ジョウンは絶対に入ってはいけないと言う。ジョウンが蜂飼いの師匠・ドランの家に出かけ、エリンはひとり留守番をすることになる。ジョウンから奥の部屋に入ることを禁じられたエリンだが、何があるのか知りたくてたまらず扉を開けてしまう・・・
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第12話 白銀の羽
カショ山の「夏の小屋」に着いたエリンとジョウン。久しぶりの「夏の小屋」は傷んでホコリだらけ。ついてきたヌックとモックも加わり大掃除が始まった。エリンが煙突にもぐりこんだ時、何かの影が頭上の光を一瞬さえぎる。気になったエリンは、その影の主を探しに森へ行き、そこで巨大な羽を拾う。ジョウンからその羽は獣の王者である「王獣」の羽だと聞く。エリンは闘蛇より大きく、そして気高い獣が存在することを初めて知るのだった。
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第13話 王獣の谷
薬草として高く売れるチゴの根を採りに行くことにしたジョウン。しかし、チゴは闘蛇が多くいる危険な峡谷で育つことを知ったエリンは、母を失ったラゴウの沼でのことがよみがえり不安になり、ジョウンの後を追いかける。心配どおり、ジョウンは崖の途中の岩棚に落ちてケガをしていた。動けないジョウンを一人にしておけないエリンは、一緒に崖で一晩過ごすことにした。そこでエリンは、闘獣が王獣のヒナを襲おうとしているところを見てしまう。
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第14話 霧の民
アケ村より真王領に流れ着いたエリンの後を影のように追い、見守ってきた「霧の民」の探索者ナソンは、エリンの様子を伝える為に霧の民の村へと戻る。ナソンは、ソヨンとエリンは幸せな日々を送ってきたこと、エリンはソヨンによく似て、聡明で好奇心が強い娘であること、闘蛇のキバが死んだことでソヨンが裁きにかけられたこと、そして母の手で闘蛇に乗せられ幼いエリンだけは王都へ逃れ着いたことなどを長老たちに語るのだった。
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第15話 ふたりの過去
ジョウンの元にきてから四年もの月日が流れ、十四歳となったエリンは、自分で蜂を増やして蜜を売り、お金を稼げるまでに成長していた。ある日、ジョウンを訪ねて見知らぬ男がやってくる。その顔を見て驚くジョウン。男がジョウンにかけた言葉は、エリンにとって思いもよらないものだった。そんなエリンに、ジョウンはひた隠しにしていた自分の過去を語り出し、またエリンもジョウンに自らの生い立ちを包み隠さず話しはじめる。
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第16話 堅き楯(セ・ザン)のイアル
王獣保護場から《入舎ノ試し》についての返事が届く。合格の条件は厳しいものだったが、特別に試しを受ける許可が下りたエリンは、ジョウンと共にカザルムへと向う。その旅の途中、エリンの竪琴が壊れてしまう。修理のために楽器職人の家を訪れたエリン。その竪琴を見て驚いた職人のヤントクは、エリンに竪琴をどこで手に入れたのかを尋ねるのだった。同じ頃、ヤントクの工房には若き有能な武人・堅き楯<セ・ザン>のイアルの姿があった……。
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第17話 狙われた真王
ジョウンの学友である教導師エサルの計らいにより、カザルム学舎で《入舎ノ試し》を受けることになったエリン。カザルムに向かう途中に立ち寄った街で、真王の60回目の誕生日への贈り物を運ぶ大きな荷車の列を見る。王宮の大広間では、真王陛下を祝おうと、大公や貴族たちが真王陛下のもとに集まっていた。式典が始まり、ダミヤが真王に献上したものは、荷車に積まれていた幼い王獣だった。
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第18話 教導師エサル
カザルム王獣保護場についたエリンとジョウンをエサルが出迎えてくれた。エサルによって学舎を案内される二人。エリンにとってはどれもこれも興味深いものばかりだったが、その中でも教導師長室の書架に並ぶたくさんの本に釘付けになる。そしてエリンの《入舎ノ試し》がはじまった。エサルはエリンの学力が秀でていることは元より、特に獣ノ医術師になりたい理由を書いた作文のすばらしさに驚き、エリンの才能に気付くのであった。
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第19話 カザルムの仲間
《入舎ノ試し》に合格し、カザルム学舎の中等二段に編入したエリン。ジョウンと二人きりの生活から、同じ年頃の子ども達との初めての共同生活が始まる。しかし、エリンは王獣のことを学べることが嬉しく、授業では先生を質問ぜめにしたり、自分が知りたいことに一生懸命で学舎の規律を守ることが出来ない。カザルム学舎にはエリン以外にもう一人の女子学生、ユーヤンがいた。ユーヤンはそんなエリンを気遣い声をかけてくれるのだった。
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第20話 リランという名の王獣
獣ノ医術師を目指す仲間たちと共にエリンの新たな生活が始まった。王獣のことを学べることが嬉しくて、獣舎の掃除やフン集めの授業でさえ楽しみにしているエリンだった。しかし、野生の王獣の美しさを知っているエリンにとっては人に飼われているカザルムの王獣が哀れに見えて仕方がない。ある日、野生の王獣とカザルムの王獣の違いを話すエリンを教導師長のエサルはあるところへ連れて行く。そこには傷付いた幼獣のリランがいた。
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第21話 消えそうな光
トムラに代わって、ひと月だけ幼獣・リランの世話をする許可をもらったエリン。幼いうちに母親から引き離されたリランと自分を重ねずにはいられず、必死に世話を続けるがリランは水以外一切口にしようとしない。このままエサを食べなければリランはいずれ死んでしまう。悩む日々が続く中、以前に見た野性の王獣の子どもが、母親の身体の下にいた姿を思い出し、あることに気が付いたエリンは、王獣舎の壁板をはがすのだった。
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第22話 竪琴の響き
毛布の中で響いた竪琴の音が、王獣の母親の鳴き声に似ている事に気付いたエリンは、その音を正確に出すことができれば、リランは自分に応えてエサを食べるようになってくれるのではないかと思い、大切にしてきた竪琴に細工をすることにする。そして、かつて竪琴を直してくれたヤントクの店を訪ねる為にトムラと王都に向かう。その頃、式典で真王を狙った暗殺者の仮面の出所について調べていたイアルに何者かが襲いかかろうとしていた…。
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第23話 カザルムの誓い
餌を食べるようになり、元気に水浴びするリランの姿にほっとするエリン。しかし、学童たちの間では、エリンが霧の民の不思議な力を使ってリランを操ったのではないかという噂が広まっていた。エサルは教導師達を集め、エリンが竪琴を使って母親の鳴き声に似た音を奏でてリランに餌を食べさせたことを話すが、王獣と意を通じようとしていることは王獣規範(おうじゅうきはん)に書かれた規則に背くことでもあった。悩むエサルが下した決断とは…。
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第24話 嘆きの歌
幾度となく繰り返される隣国・ラーザとの戦い。終わりの見えない戦いに、国の行く末を案ずる大公の息子・兄のシュナンは、傷つき前線から戻ってきた兵士の姿をやりきれない思いで見つめる。一方、弟のヌガンは戦場で戦いたいと思っているが大公に許されないでいた。考え方の違う二人が、むかし兄弟で植えた木の前でそれぞれの思いを胸に言葉をかわす。「二人でこの国を守ろう」そう誓いあった幼い日に思いをはせるのであったが…。
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第25話 ふたりのおつかい
ラゴウの沼で命を救われて以来、エリンを追ってカザルムまでついて来たヌックとモック。カザルム王獣保護場で雑用係として働くものの、毎日失敗続きで寮母のカリサに怒られてばかり。ある日、カリサに頼まれて街におつかいに出かけた二人は、このおつかいを見事に成功させてカリサを見返してやろうと決意するが、早速預かったお金を失くしてしまう。途方に暮れた二人は、何とかしてお金を稼ごうとするのだが…。
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第26話 リランの心
カザルム学舎では夏の試験が行われようとしていたが、リランの世話に夢中になっていたためエリンの勉強は確実に遅れていた。試験に落第したらカザルムを去らなければならないエリンは、トムラや同級生たちに助けられ、無事に高等一段に進級する。夏休みに入り同級生たちがそれぞれ帰省してしまい、カザルムでひとり過ごすエリン。ある日、リランが竪琴を使っていないのに自分の言葉を理解していることに気付くのであった…。
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第27話 ヒカラにおちて
毎晩、ソヨンの夢ばかりを見るエリン。寝坊してリランの餌やりに遅れてしまう。いつもと違って顔色も悪く、どこかぼんやりしたエリンを心配するエサルたち。ある夜、霧の中を飛びかう不思議な光を見かけたエリン。翌朝、その場所に行ってみると、そこにはたくさんの王獣の石像が並んでいた。それは王獣たちの墓だった。カリサによれば、霧のたちこめる夜には不思議な光が飛びかい、迷いこんだ人間の魂をヒカラに連れて行くと言うが……。
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第28話 ジョウンの死
ある夏の日、エリンの元にジョウンの息子アサンからの手紙が届いた。その手紙の内容は、王都に戻り静かに暮らしていたジョウンの死を知らせるものだった。エリンはジョウンの遺した書物を前に、必死で涙をこらえる。心配するエサルを前に、大丈夫だと笑みを見せ、気丈にリランの世話をこなすエリン。そんな様子を見ていたエサルは、エリンをつれて小旅行に出かける。そこはジョウンとエサルの思い出の地であった。
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第29話 獣の牙
夏休みも終わり、学童たちが戻ったカザルムはいつもの賑やかさを取り戻す。ジョウンの死を知ったユーヤンはエリンを気遣うが、エリンは明るく振る舞おうとする。リランは産毛の生え変わりの時期を迎え、その毛並みを整えてやろうとしたエリンはヌックとモックに頼みこみ、大きな刷毛を作ってもらう。出来上がった刷毛で毛を整えてもらうリラン。気持ちよさそうにのどを鳴らして喜ぶが……。
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第30話 四年目の冬
十八歳になったエリンは、カザルム学舎の最上級生になっていた。教導師長室で、カリサと話していたエサルは、エリンがジョウンに連れられて《入舎ノ試し》を受けに来た日のことを思い出していた。「この世に生きるものが、なぜ、このように在るのかを知りたい」と書かれたエリンの作文に感心し、カザルムへの入舎を許可してから四年。その月日の間にエリンの身に起こったさまざまな出来事をエサルは思い返すのだった。
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第31話 光の空
ラザル王獣保護場の研修から戻ったトムラは「カザルムでは王獣規範に従わずに王獣を育てている」という噂が流れていることをエサルに報告する。ときを同じくして、タムユアンから新しい教導師・キリクがやってきた。美しい容姿を持ち、惜しげもなく菓子をくれるキリクに学童たちは夢中になる。そんなキリクはやたらとエリンの事を詮索して回るのだった。ある日、リランを連れて外に出たエリンはそこで思わぬ事態に直面する。
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第32話 大罪
エリンを背に乗せ大空を舞うリラン。上空の寒さに震えるエリンの耳に、かすかな指笛の音が響く。眼下にたたずむ灰色の人影。地面に降り立ったエリンを迎えたのは、霧の民のナソンだった。竪琴で王獣と言葉を交わすことは大罪であると言うナソン。母・ソヨンも口にした「大罪」とは何を意味するのか。ナソンは、太古の昔、アフォン・ノアの彼方に栄えた王国・オファロンに起きた出来事を話し始める。
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第33話 飛翔
エリンは、リランが自分を乗せて空を飛んだことをエサルに報告する。その報告に喜ぶエサル。しかし、自由に飛べるようになったリランがカザルムから飛んで逃げてしまっては大問題になりかねない。そこで、リランが空を飛んだということが外に漏れないよう、学童たちがいない冬休みの間に、リランがエリンの命令で空を飛ぶようにする訓練を行うことになった。しかし、全く飛ぼうとしないリランにエリンは困り果ててしまう…。
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第34話 イアルとエリン
爪にケガを負った王獣がラザルからカザルムに運びこまれてきた。動けないほどに弱った王獣の息から漂う甘い香りに、エリンはアケ村でソジュが倒れた時のことを思い出す。原因がチチモドキの毒にあると気付いたエリンは、解毒薬を求めて王都の薬問屋に向かう。その頃、菓子の中に仕込まれたチチモドキの毒に倒れたセィミヤの侍女・ナミの命を救うため、同じく王都の薬問屋に向かうイアルの姿があった。
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第35話 あたらしい命
カザルムに、羽をケガした野生のオスの王獣が運ばれてきた。この王獣は「雄」という意味である「エク」と名づけられた。エクは傷の治療の為に音無笛で硬直させても、硬直がとけるたびに暴れ傷が開いてしまう。そこで、エリンがエクの世話係りを任される。エリンは泊まりこみで世話にあたり、エクは次第に回復する。ある日、リランの世話をしていたエリンは、体毛にある変化が現れていることに気付く。
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第36話 卒舎ノ試し
リランの妊娠に喜ぶカザルムの学童たち。しかし、王獣の出産は例がなくエサルにも経験が無い。卒舎ノ試しが近づいていても、ソヨンに教わったことを思い出しながら、一生懸命リランの世話にあたるエリン。リランのことで頭が一杯のエリンに、トムラは卒舎ノ試しで一等がとれなければカザルムに残れないことを告げる。エリンは、リランと一緒にいるためにも必ず一等を取ることを心に誓う。
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第37話 誕生
新しい学童たちがカザルムに入舎した。教導師になったばかりのエリンは、今年の新入生で唯一の女子・シロンが、他の学童たちと遊ばず一人で本を読んでいることが気になり、声をかける。誰にも負けないよう本を読んで勉強し、絶対に教導師になると答えるシロン。エリンは、本を読むのも大事だが、自分で見聞きし感じることも大切だと教えるが…。
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第38話 真王ハルミヤ
リランの子・アルと会うため、初めて王宮から外出する真王。エサルは、エリンがリランたちと竪琴で心を通わせていることを知られてはならないと考え、エリンに人前に出る事を禁じる。カザルムに着いた真王は、リラン親子の美しさに見とれ、一歩また一歩と近づいていく。子育てでいつもより気が立っているリランに近づいては危ないと、エリンは思わず真王の前に飛び出してしまう…。
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第39話 闘蛇の襲撃
王獣の視察を終えた真王は、カザルム河を下る巨大な御座船で王都への帰路につく。展望の丘から、感嘆しながら美しい御座船を見つめる学童たち。しかし、遠眼鏡をのぞいていたシロンは、支流から流れてくる丸太のようなものに気づく。とっさにそれが闘蛇だと気づいたエリンは、真王や御座船に乗った人々の危険を察して走り出す。
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第40話 かげりゆく国
真王の御座船を襲った闘蛇の軍により傷ついた多くの人々を、エリンは必死に治療していく。そんな中、誰もがこの事件を闘蛇を操る大公の仕業だと思っていたが、エリンだけはそうではないことに気付く。そして、真王を守って傷ついたイアルを治療しながら、エリンは彼に自分の考えを伝える。一方、エリンとリランが起こした奇跡を目の当たりにしたダミヤは…。
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第41話 真王の真実
カザルム河での襲撃事件から一命を取りとめた真王ハルミヤは、次第に回復に向かい、カザルム候の館での晩餐会にエリンを招待する。そこで、王宮に戻る真王の護衛をリランと共におこなうよう命じられるエリン。王宮にいってしまえば、リランは王獣本来の生き方を許されない…。それを避けようと、エリンは真王にすべての真実を話すことを決意する。
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第42話 セィミヤの涙
真王が亡くなったという知らせに、衝撃を受けるエリン。一方、王宮では、大切な肉親を失ったセィミヤが悲しみにくれていた…。次の真王となるセィミヤは、リョザ神王国の存続のため、世継ぎを生み、真王の座を継承していかなければならない。ダミヤはセィミヤをなぐさめながらも、一番愛している男は誰なのかと問いかけていく。
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第43話 獣の医術師
カザルムの農園で、学童たちと山リンゴの接ぎ木の実習をしていたエリン。そこにトムラが息を切らせて駆けつけ、急を告げる。真王からの命を受け、ラザル王獣保護場のオウリがリラン一家を連れにきたというのだ。エリンは必死でリランの王獣舎へと走ったが、すでにリランは、ラザルの王獣使いたちに牙を向けていた…。
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第44話 アクン・メ・チャイ
ラザル王獣保護場へと連れてこられたエリンだが、馬車が向った先はダミヤの館だった。エリンの前に現れたダミヤは、彼女が恐怖に負けることなく王獣を制していることを褒める。しかし、リランとエリンは、今までのような関係ではなくなっていた…。顔を強張らせたエリンにダミヤは、大公の闘蛇部隊に対抗する王獣部隊を作るよう命じる。
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第45話 かごの鳥
『建国の夜明け』の日、エリンは王祖ジェの伝説のように、大勢の人々の前で王獣に乗って空を舞う。そして、シュナンをはじめとする闘蛇軍をやすやすと撃退するだろう…。まるで確信したかのようなダミヤの言葉に衝撃を受け、うなだれるキリク。そんな彼にダミヤは、自らの陰謀に気づいた可能性のある人物を毒で消すよう命じた。
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第46話 ふたりの絆(きずな)
ダミヤに毒を飲まされ、仮面の男たちに襲われたイアルは、その追撃をかわし、ラザル王獣保護場へと逃げ落ちる。そこにはリランたちの世話をするエリンの姿があった。傷ついたイアルを見つけ、その治療をするエリン。傷から来る熱と毒とにうなされながら、悲しい過去を夢見るイアル。そんな時、ダミヤの追っ手がラザルへと迫ろうとしていた…。
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第47話 清らかな夜
タハイ・アゼでの決戦が迫る中、ダミヤとの結婚こそがリョザを清らかな国に導く手段だと信じ、みそぎの森へと赴く真王セィミヤ。しかし、シュナンの存在が頭から離れない。シュナンは自分を愛するからではなく、国のために結婚しようとしているのではないか。その疑念がセィミヤを迷わせる。そんなセィミヤの前に現れたのは…。
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第48話 リョザの夜明け
雪の舞うタハイ・アゼに、大公の誇る勇猛な闘蛇の軍が集っていた。一方、緊張高まる丘の上の天幕には、セィミヤとダミヤ、そして、エリンとリランの姿があった。今のエリンにはリランが戦の道具になることがないようにと願いながら、セィミヤがすることを見つめることしかできない…。そんな中、傷を負ったイアルが真王の天幕に近づこうとしていた。
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第49話 決戦
タハイ・アゼの夜が明ける時、はるか大地の向こうに陣取る大公軍を前にしてダミヤはセィミヤに向かって言った。あれがそなたの軍なのだと…。その言葉を聞いたセィミヤは心を固める。そして時は満ち、雲間から射した光が大地を照らすと、静かに闘蛇の群れが動き始める。わずかばかりの手勢を連れた真王を目指して。
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第50話 獣の奏者<終>
セィミヤの意思により青い旗が掲げられた瞬間、皆が真王と大公とが手を取り合う新たな時代の訪れを信じた。だがそれは突如走り出した闘蛇の群れによる混乱の中で潰されてしまう。シュナンを亡き者にしようと迫る闘蛇軍と守ろうとする闘蛇軍が互いにぶつかり合う惨劇の中、孤立したシュナンを助けようと、エリンはリランとともに飛び立つが…。