『モンキーターン』
モンキーターンとは、競艇においてボートを全速で旋回させる華麗で高度なテクニック。
主人公・波多野憲ニはそのモンキーターンに衝撃を受け、競艇選手になることを決意する。
実在する競艇選手の研修所・全国のレース場を舞台に同期のライバル洞口雄大や女子レーサー青島優子とともに、超激しく鬼ガンコな師匠のもと、日本一のレーサーを目指し、様々な難関を乗り越えていく。
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第1話
やまと競艇学校82期卒業記念レース。開会式の壇上で波多野憲二は宣誓していた〜「3年以内に日本一のレーサーになります!」。会場には感嘆と失笑が沸き起こっていった。そんな簡単に勝てるほどプロの世界は甘くないのだ。そして卒業レース・準優勝戦が始まった。強引な山崎のダンプ(※相手の艇に自身の艇をぶつけてターンできるようにするテクニック)を、禁止されているモンキーターンでかわした憲二は1着でゴールイン、優勝戦進出を決めた。そんな様子を見つめていた謎の男が憲二のもとにやってきて…。
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第2話
卒業記念レース優勝決定戦。ライバルの洞口と憲二はともに準優を1着で勝ち進んでいた。しかしレースが始まり1マークを抜けてきたのは青島優子だった。これを追いかける憲二と洞口。しかしストレートでは抜けないと憲二と洞口は禁止されているモンキーターンを使った。ここから二人のデッドヒートが始まった。やがて水面が風で荒れ始めた最終周、ここで冷静な洞口は安全な通常のターンを選択する、しかし憲二は何が何でも洞口に勝つ!とモンキーを決意。さて最終ターン、いち早く抜けてくるのはどちらだ。
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第3話
いよいよ憲二のプロデビューだ。平和島競艇場の控え室ではモーターの抽選が行われていた。そこで憲二は驚異の勝率を誇る「平和島のオバケモーター」を当てるという絶好のチャンスを掴んだ。しかしスタート練習ではフライングを連発し手こずっていた。そしていよいよ本番。好スタートを決めて第1ターンマークへ飛び込んで行ったと思いきや、見事に転覆! せっかくのオバケモーターも分解・洗浄しなければならない羽目に。そこへ気難しく、ガンコなベテランレーサーの古池がやってきて…。
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第4話
競艇選手はプロペラを修正したり、情報を交換したりするのに何人かでグループを作っている。憲二も東京支部の江上たちのグループに誘われたが、競艇のことを教わるなら古池しかいないと既に決めていた。そして休日に古池の自宅まで押しかけて弟子入りを懇願する。しかし許しはもらえずの日々が続いたそんなある日、古池の娘・亜紀からある事故のことを聞く。その事故以来古池は弟子は取っていなかったのだ。説得材料が見つからずに悶々とする憲二に古池と同じレースの斡旋があり…。
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第5話
江戸川競艇場は初めて走る新人にとってはとても難しい水面だ。「今節、一度でも連に絡むことができたら弟子にしてやる」という約束を古池からもらった憲二だったが、転覆・ゴンロク(※5着や6着など、悪い成績のこと)でとても弟子にしてもらえそうにない。宿舎に帰り過去のレースを必死で研究し作戦をたてる憲二。これで行けるぜ次のレース!と思ったが、なんと次のレースは古池と一緒の競走だった。直接対決だ、さぁどうする憲二。
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第6話
やっと古池の弟子になった憲二だったが、いつも怒鳴られてばかりで、周りからはあんな仲の悪そうな師弟は見たことがないと囁かれていた。そんなある日、ライバルの洞口が蒲郡一般戦で初優勝したというニュースを聞き、俄然練習に力が入る憲二をみて「ライバルの好成績はよほどキクようだ」とほくそ笑む古池だった。そんな憲二に新鋭リーグ戦の斡旋がきた。やまと卒業レース以来の洞口との対決に対抗意識を燃やす憲二。しかしそこには岡泉誠二、潮崎俊也といったSGクラスの一段格の違うレーサーたちが待ち受けていた。
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第7話
桐生新鋭リーグ優勝戦は“赤城おろし”のため大荒れの様相を見せていた。冷静にレースを運ぶ洞口と着実に順位をあげる潮崎。潮崎相手に、なかなか前に出られない憲二は2マークでダンプを仕掛け、そして3周まで憲二と洞口の1位争いが続いた。最終ターンに憲二はこの風の中でも全速ターンをしようと突っ込んでいき、洞口も後悔はしまいとレバーを握った。洞口は波に弾かれ転覆。そして憲二の優勝で幕を閉じた。しかし自宅で憲二のレース中継を見ていた師匠の古池は、憲二の表彰式を前に席を立って部屋を出て行ってしまい…
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第8話
やまとを卒業して1年あまりが過ぎ、B1級に昇格した波多野憲二に唐津競艇場でのレースへの斡旋がきた。唐津は同期の青島優子がホームにしているところだ。1年ぶりの再会に、いいところを見せようとする憲二だったが、なんと1走目でフライングを犯してしまう。「まだ1回目だし」と優子に言った憲二だったが、このフライングが憲二のスタート感覚を狂わせ、その後のレースでは慎重なスタートしかできなくなってしまう。
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第9話
フライング持ちのプレッシャーからまともなスタートを切れなかった憲二だったが、青島の先輩で福岡支部の鮎川のひと言により憲二は迷いから抜け出すことができた。そして、いよいよ唐津競艇4日目、予選最終日。憲二は青島と同じレースを闘うことになった。青島は準優出をかけた勝負駆けだったが、このレースでトップスタートを切ったのは大外からの憲二。しかし軽量が武器の青島は直線で追い付きターンでは憲二が先行すると言う展開に。ガンバリ屋の青島相手に、憲二はしかし手加減はいけないと真っ向から勝負する。そして…
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第10話
古池の弟子になって1年あまり経っていた憲二。しかし古池との約束でプロペラはまだ叩かせてもらえていなかった。エースペラを壊してしまった多摩川のレースで関東の若手屈指のペラ巧者・和久井は、この話を聞き「昔の人らしい精神論」だと言う。これに反発を感じる憲二だったが、その節で和久井は持論通りだと言うように優勝をさらった。これを期に憲二は「自分にもペラ作りを教えて欲しい」と古池の家まで頼みに行くと、古池も、そろそろ良かろうと山奥にある古池のペラ小屋へと憲二を連れていくのだった。
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第11話
平和島での一般戦。しかし今節は憲二にとって特別なものだった。師匠・古池の考えが昔の人の考えだと言わんばかりの和久井の言葉を否定するためにも、憲二はこのシリーズで和久井に勝とうと古池と一緒に作ったペラで、和久井との勝負に臨んでいたのだ。憲二は予選3連勝と絶好調だった。一方の和久井は複勝率の低いモーターに苦しみながらも徐々に調子を上げてきていた。モーター調整をして試運転に出た和久井をみて、憲二は足合わせを仕掛けた。しかし絶好調だったはずの憲二艇は和久井艇を抜きさることができず…。
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第12話
女子リーグでもなかなか勝つことが出来ずに悩み、レーサーを辞めようかとも考えていた小林瑞木。フライング休みで碧南訓練所にスタート訓練に向かう彼女の後ろから声をかけたのは憲二だった。憲二も唐津でのフライングでスタート訓練のために碧南にきたのだ。さらに同期の河野も一緒になった。規定の訓練はすぐに終わり、それならターンの練習を始めようと考えた憲二と河野は小林にも一緒にやろうと誘う。まだ実戦でモンキーを使ったことの無い小林だったが、この碧南での練習で何かが変わってゆくのを感じていた。そして宮島での女子リーグが斡旋されて…。
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第13話
全日本選手権(ダービー)への出場が現実味を帯びてきた憲二。ダービー勝率を落としたくない憲二だったが、G1レースの斡旋が入ってしまう。G1には今までの相手より1段上の強豪選手が集まってくる。ここはもう、やるしかないと気を引き締め練習を始める憲二だった。装着場に戻ると潮崎と記者の山口が寄ってきた。山口は今節がダービーへの勝負駆けだけど、そんな時期に記念レースに呼ばれるなんて試練だと言う。当の憲二もわかっていたが、やはりレースが始まるとなかなか思い通りには走らせてもらえなかった。
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第14話
洞口武雄からレース後に言われた「つまらない奴だ」という言葉が耳に残っていた憲二。あの場面はしょうがないだろ、と思いつつも釈然としない予選道中だった。これまでの成績では、今日1着にならない限りダービーへの出場権は獲れないと開き直り、迎えた予選最終日第6レース。このレースにはSGウイナーの潮崎、そしてあの洞口武雄も出走することに。大時計が動き出し、快心のスタートを切ったのは憲二。果たして、洞口武雄へのリベンジは成るか? そして憲二はダービー出場を決めることができるのか。
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第15話
いよいよSGレース、全日本選手権が始まる。選手控え室には錚々たるメンバー、そしてその中には前のG1レースで戦っていた洞口武雄の姿もあった。初日第1レース、アクシデントのおかげで憲二は何とか2着になれた。その頃複勝率の低いモーターをひいてしまった榎木は黙々と整備を続けていた。その様子を見ていた憲二に古池は多ければ1日に5回はモーターを開けると話す。そして洞口、榎木、潮崎らが出走する初日最終となるドリームレースが始まった。序盤は洞口が大きくリードしていたが、榎木が追い上げてくる。そしてレースは3周目に入り…。
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第16話
SG全日本選手権、4日目。古池の準優出の可能性がなくなり、憲二も落胆していた。しかし「お前だって勝負駆けだろ!」と浜岡に気合いを入れられる。そう次のレースで1着を取れば準優勝戦に出られる可能性が憲二にはあったのだ。そして憲二の準優出をかけたレースの待機室。しかし、その顔ぶれは強豪ぞろいで、あの“愛知の巨人”洞口武雄も入っていた。いよいよレースが始まり、トップスタートを切った憲二が1マークに飛び込んでゆく。そこにインコースから洞口武雄が伸びてきた。
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第17話
準優戦を前にペラ小屋に行った憲二。しかしペラ修正室はあいにく混んでいた。奥にスペースを見つけペラを叩こうとした時、隣を見ると、何とそこには艇王・榎木がいた。驚いて思わず敬礼してしまう憲二。そのことがまわりに笑いを起こした。そんなきっかけもあり、憲二はダメもとで榎木にペラを見せてもらえないかと頼んだ。すると榎木は「今日の準優に勝ち残って優出したら見せてやろう。無理かな?」と返してくる。一瞬真顔で「やります!」と答える憲二。準優戦、 大外から自信を持っての発進。しかしイン2艇が先行する。しかしこの2艇はフライング。そして憲二がトップとなっていた。
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第18話
憲二の初出場ダービーは、優出したものの結局6着で終わった。一方、ライバル洞口は次のレースに備えビデオを見ていたが、ダービーでの憲二のタッチスタートがフラッシュバックして脳裏を離れない。そこに父・武雄が訪ねてきて、今のままでは波多野には勝てない、勝つためにはオレと組めという。しかし雄大は断った。自分が競艇選手になったのは家族をかえりみず、愛知の巨人と言われいい気になっている父親を潰すためだ、と言うのだ。それを聞いた父・武雄は「ずいぶんとちっぽけな目標だったんだな」と部屋を出て行く。
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第19話
父・洞口武雄と手を組むことにした雄大。そして、はじめに武雄が連れて行ったのは流体力学の教授のもとだった。今の競艇界をペラグループを作らずに、一人で戦ってきた愛知の巨人・洞口武雄は、この教授からプロペラのアイディアをもらっていたのだ…。そのひと月後のG1レースを新ペラの実戦テストの最初の場所に選んだ。迎えたG1・徳山モーターボート大賞。憲二も同じ斡旋を受けていた。憲二は絶好調で1着ラッシュ、対する雄大は不調のゴンロク続きの予選だったが…。
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第20話
憲二が出場しているSGグランドチャンピオン競走の裏で開催されている一般戦に洞口雄大と青島優子は出場していた。ペラ修正室で洞口スペシャル(ペラ)を見せてもらった青島は、その特異な形に驚く。そして、洞口スペシャルによる圧倒的な速さの洞口の優勝でその節は終わった。レースが終わり、同期の河野の家に寄ってから帰郷する洞口と青島。その電車の中で競艇に対する考え方について青島に諭された洞口は、別れ際に青島に対する自分の気持ちを告白する。
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第21話
たまには休みも必要だ、と古池のペラ小屋から追い返されてしまった憲二。しかしうちに帰ってきても澄はありさと出かけて留守。仕方なくブラブラしていた憲二は目の前に道を聞いている女の子を発見。ナンパ顔の憲二が声をかけると、それは青島優子だった。ひとまず憲二の実家に行くが、興味津々の家族に呆れて外に行くことに。レースで悩んでるのか?と聞く憲二だったが、青島は競艇場以外で同期と会ったことがなかったからと言うだけだった。その後、何かが吹っ切れたように「いっぱい元気もらったから」といって優子は帰って行く。
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第22話
同期の河野が夏以降、調子を落としているということを小林瑞木から聞いた青島。それはちょうど河野が洞口スペシャルを見た時期からだ。青島から、何かアドバイスをとお願いされた洞口は、河野のもとへと向かう。そして、洞口スペシャルは今の河野にはコピーできないと伝えるのだった。洞口スペシャルを作るには費用が掛かり過ぎると言うのだ。その話の内容を知った青島はガク然として、洞口に「あなたは他の人の心が想像できない人」だと言って電話を切る。
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第23話
波多野憲二にとって2度目のダービーがついに始まった。しかし、洞口スペシャルに勝つため急激な減量をしたために体調不良になり、まともなレースができず、初日からゴンロクとなっていた。そんな憲二に先輩の浜岡が、減量に慣れている和久井に指導してもらえと忠告する。その甲斐あって徐々に集中力が戻ってくる憲二。しかし前半の成績がたたって、準優に進むには残る予選で1着を獲るしかなくなった。そして、雨の降る3日目。憲二の目には、雨にもかかわらず大時計がいつもよりはっきりと見えるようになっていた。
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第24話
全日本選手権、予選最終日のレースを1着で終えた憲二は準優にコマを進めた。レース後、第6レースに出走する和久井と控え室を覗くと、レース直前にもかかわらず犬飼が寝ていた。「この人、やる気あるのか?」と思っていた憲二だったが、浜岡にそのことを話すと「それは犬飼さんの調整が完璧に仕上がったからだ」と言う。そして迎えた第6レース、犬飼はまさに1着で準優出をものにした。その夜、宿舎のサウナで居合わせた犬飼から「明日はお前に絶対負けん!」と言われて当惑する憲二だったが…。
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第25話
いよいよSG全日本選手権の優勝戦。コース取りは犬飼の思惑通りに洞口が4コースになった。洞口スペシャルの強さばかりが目立つ今節だが、しかし手ごわいのは洞口だけじゃない。SG常連の榎木、犬飼、それに鮎川、江上が優勝戦の顔ぶれだ。しかし臆することなく「精一杯、今のレースをやるだけ」と渾身のスタートで1マークをマクリに行く憲二。しかし「マクリに行くのはお前じゃない! このオレだ!!」とばかりに伸びてくる洞口艇。果たして憲二はダービーを制して日本一のレーサーになることができるのか?