『八雲立つ』
秘祭・神和祭が行われる出雲地方の村を訪れた七地健生は、そこで美しい巫覡(シャーマン)と出会った。
その巫覡こそ名家・布椎家の跡継ぎ・闇己だった。
本祭の夜、宗主の印である神剣『迦具土』を父より授かった闇己は、神社より奪われた6本の神剣を集め、封印された古代出雲族の怨念を昇華させる使命を与えられた……。
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第1話 八雲立つ(上巻)
舞台の取材のアルバイトで島根県・維ふ谷村(いふやむら)の道返神社(ちがえしじんじゃ)へ出掛けることになった七地健生(ななちたけお)は、家に古くから有るいわくありげな飾太刀を、奉納する為に一緒に携えてやって来た。そこでは、四十九年に一度だけ行われる秘祭・神和祭(かんなぎさい)- 実は宗主に係わる秘祭 - が行われていた。巫女による奉納舞が始まると、その後ろに黒い影が蠢きだした。その巫女は居合道の宗家・布椎家(ふづちけ)次期宗主、布椎闇己(ふづちくらき)であった。本祭の日、宗主のしるしである神剣『迦具土(かぐつち)』を受け取り、神社より盗まれた残り六本の神剣を集め、千七百年もの間封印してきた古代出雲族の怨念を昇華させることを使命として与えられた。そして宗主としての最初の仕事として父・海潮の与えたことは…。
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第2話 八雲立つ(下巻)
布椎家の宗主となるため、父・海潮の命を天に還した闇己。父を殺し、我を失った闇己は、自らも悪しき怨念を依り憑かせ、神事を穢した七地を殺そうと山中へ入っていく。その時、結界が破れ、1700年もの間鎮められていた古代出雲族の怨念が溢れだした。我を取り戻し、もう一度結界を張るため、迦具土とともに、怨念に立ち向かう闇己。七地の持っていた刀が迦具土と呼応し始めた時、闇己と七地の時代を越えた戦いが始まった。
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