- 地域:日本
- タイプ:TV
- 正式名称:秘密 〜The Revelation〜
- 英語名:Top Secret: The Revelation
- 中国語の名前:秘密 ~The Revelation~
- 他の名前:秘密 -The Top Secret- / 秘密 ―トップ・シークレット― / 秘密[トップシークレット] The Revelation / 最高机密
- 放送開始:2008-04-08
- 放送状況:放送終了
- タグ:SF / 悬疑 / 犯罪 / R(L) / 漫画改
- 原作:清水玲子
- 監督:青山弘
- シナリオ:川嶋澄乃 / 林壮太郎 / 藤岡美暢 / 鈴木智 / 宍戸義孝
- 絵コンテ:小島正幸 / 水野和則 / いしづかあつこ / 森田宏幸 / 影山楙倫
- 演出:八田洋介 / いしづかあつこ / 渡邉こと乃 / 渕上真
- 制作会社:MADHOUSE
- 制作協力:ムークアニメーション
- 家族:秘密 〜The Revelation〜
- Rating:16+
『秘密 〜The Revelation〜』
「近年急増する凶悪犯罪。その犯人検挙及び全容解明のため、科学警察研究所・法医第九研究室はMRI捜査を開始した。…取り出された犠牲者の脳から見えてきた映像は被疑者だけでなく、本人のあらゆる記憶をさらけ出していた…」科学警察研究所・法医第九研究室、通称「第九」―死体の脳を取り出して被害者の記憶を覗くこの部署では、5人の少年の自殺事件のMRI捜査に追われていた。
そこに「真実を見極めたい」と、青木という1人の新人が配属された。
まっすぐで誠実な青木に対し、室長・薪警視正は「君は第九に向いていない」と言い放つ。
その薪の姿は何か昔を思い起こしているかのようだったが…。
そんな折、発砲事件が起こりMRI捜査の依頼が舞い込んだ。
しかし、摘出された脳が何者かに奪われ…。
タグ
PVエピソード並べて表示 / 詳細表示
主なエピソード並べて表示 / 詳細表示
-
第1話 脳と旅する男
警察庁科学警察研究所にある法医・第九研究室、通称“第九”は、“MRI捜査”という画期的な捜査をしていた。それは、死亡した犯罪被害者の脳に残された“記憶”から生前の記憶映像を再現し、難事件解決の糸口にしようというもの。そのためには、被害者の脳を死亡から48時間以内に摘出し、電気刺激を与えて機能を稼動させる必要があった。第九の室長は、薪剛という少々風変わりな警視正。新しく配属された読唇術が得意な捜査官・青木一行は、薪からいきなり「転属願いなら、なるべく早く出せ」と言われ、ア然。あどけない顔をし、なぜか眠っている時も防弾チョッキを着ている薪。そして、いつでも自分の脳を撃ち抜いて死ねるようにと、薪は、中に拳銃が仕込まれた聖書を抱いていた。その第九に、さっそく捜査命令が出た。事件は、3時間前に発生した拳銃強盗殺人で、被害者は主婦の榎木雪野。薪は、青木に先輩捜査官の岡部と一緒に、雪野の脳を警察病院まで取りに行くよう命令した。ところが、2人は病院の構内で何者かに、摘出した脳を奪われてしまう…
-
第2話 トップシークレット(前編)
アメリカの現役大統領・リードが白昼に暗殺される事件が発生。衝撃的なニュースは世界中を駆けめぐった。暗殺の現場は、リードとサラ夫人の20回目の結婚記念日を祝う海辺のパーティー会場で、死因は背中を刺されたことによる失血死。FBIはアメリカ全州から1000人に及ぶ警官を動員して捜査を始めるが、手掛かりは全く見つからない。追い詰められたFBIは、日本のMRI捜査に注目。FBI側から捜査協力の要請を受けた薪ら第九のメンバーは、さっそく準備態勢を整えた。まもなく、リック・アナミとマイケル・ジーンというFBI捜査官に護衛されたリードの脳が日本に到着した。脳は冷凍保存された完全な状態。大統領の記憶にトップシークレットが含まれているとのことで、脳の運搬は厳重を極めた。第九に運ばれたリードの脳は、薪や青木、アナミが見守る中、すぐさまMRI捜査が開始された。モニターに最初に浮かび上がったのは、事件があった日の朝のリードの脳内映像。寝室のカーテンを開けるサラ夫人の姿や、一人娘・デボラと一緒の朝食の風景だ。そして、再生されたのは、事件が発生する3分前からの脳内映像。現場のコテージが見える浜辺に行ったリードの視線は、背中を刺されたダメージで激しく揺れ、倒れた映像となった。薪が注目したのは、その後のリードの行動だった。震える手で財布の中から白い紙を取り出したリードは、それをクシャクシャにして破り、海に捨てたのだ。白い紙をさらに分析した薪は、それが写真らしいと突き止めるが、それ以上は分からなかった。リードは、疑問の余地がないほどの愛妻家で、サラと知り合ったのは高校時代。1日の睡眠時間がわずか4時間のリードは、“神父”とも呼ばれるほどの真面目人間。薪は、そんなリードの秘密をさらに追って――。
-
第3話 トップシークレット(後編)
暗殺されたアメリカ前大統領・リードの検視が始まって1週間。薪や青木らは、リードが、一人娘・デボラの勤務先の同僚、マシュー・ハーベイと会っているシーンなど、ごく普通の父親としての大統領の生活を確認した。歴代大統領の中でもっともクリーンといわれるリードの日常にいかがわしいことが入り込む余地はなく、青木はついに弱音を吐く。そして、捜査状況の一部がマスコミに流れてしまい、薪ら第九とFBI側に不協和音が出始めた。まもなく、画像分析を行った薪らは、リードが死の寸前に破った紙が2枚あり、それがマシューの写真と待ち合わせ時間と場所を記したメモだったことを突き止めた。FBI側の情報を重ね合わせた結果、メモの筆跡、人相などから、なんとマシューが国際手配されていた暗殺者、ロス・マコーレイと同一人物と判明。リードを暗殺した犯人が、行方不明となっているそのマシューらしいと分かった。資料によると、マシューは、デボラに接近するためにデボラと同じ研究所に入り、3ヵ月前、大統領の誕生パーティーでリードに紹介されていた。その後、マシューは、大統領公邸を自由に出入りしていたらしい。そんな中、薪らは、3ヵ月前、リードがシークレットサービスを通じてマシューの写真を受け取り、さらに暗殺の3日前、そのシークレットサービスを介してメモを受け取っていたことを突き止めた。リードがなぜマシューの写真を大切に持ち歩き、絶命する直前にそれとメモを破り捨てたのか。その心の闇を解き明かすために、薪らは、再度、リードとマシューの出会いのシーンを分析すると――。
-
第4話 幸福な歌
崖からバンが転落し、乗っていた老人3人が死亡、残る1人が意識不明の重体になる事故が発生した。当初、この事故は、単なる運転ミスと思われたが、運転手の所在が分からず、またバンが盗難車と判明。さらに、死亡した老人たちの胃から睡眠導入剤が検出されたことから、警察は事件として捜査を開始した。そして、第九の面々は、捜査本部の要請で、死亡者たちの脳を検分することになった。死亡する30分前の死亡者たちの記憶を調べた薪らは、3人の老人がそれぞれ封筒を運転手に手渡し、運転手から配られたジュースを飲んでいるのを確認。その後、老人たちが、なぜか“幸せなら手を叩こう”を歌っていることに気付いた。画像の流れから、運転手が老人を眠らせた後、事故に見せかけて殺害したとにらんだ薪らは、直ちに手首にアザのあるその運転手を捜索するよう警視庁に連絡した。そんな中、バンの転落で1人だけ生き残った野見山潔の病室を訪ねた薪と青木は、看病する娘の智子から話を聞いた。それによると、野見山は、数年前に脳梗塞で倒れ、それ以降はリハビリの日々だった。5歳になる娘と2人暮らしの智子は、働き詰めだったこともあり、父親と話をする機会は余りなかったらしい。まもなく、老人たちがドリームツアーというサイトの旅行に参加していたと知った薪は、老人たちが互いに面識がなかったこと、それぞれの家庭の中で孤立していたことなどから、集団自殺の可能性があると考えた。そして、脳をさらに検分した結果、例の運転手と思しき1人の清掃作業員が老人にビラを手渡していることに気付いて――。
-
第5話 キヌコ(前編)
青木が薪から、ある人物の脳を極秘扱いで分析するよう命じられた。その人物とは、一家惨殺事件の犯人として、前日、死刑が執行された露口浩一。3年前、露口は、自宅で妻、次女、義母を殺害し、長女・絹子の死体を海に投棄した、として逮捕され、自白と物証が揃っていたことから、裁判で死刑が決まっていたのだ。さっそく、MRI捜査を始めた青木は、露口が書いている遺書を見た。それは、絹子に関する内容で、絹子が男を憎むようになった原因が自分にあるとも書いている。事件当日の行動を追った青木は、自宅に戻った露口が死体のそばで呆然とたたずむ絹子の姿を見つけたのを確認した。絹子が出て行った後、露口は、包丁に付いた指紋や足跡などを消して、自分が犯人のように工作。MRI捜査がされないよう妻ら3人の頭部を鉄パイプで撲りつけ、脳を破壊していた。そんな折、青木は、絹子が生きていたとの情報を入手した。青木が実際に見た絹子は、露口が愛していたことがうなずける、大きな瞳が美しい美人。情報によると、絹子は、3年前、記憶喪失で地方の施設で保護されていたが、交通事故に遭いかけて、記憶を取り戻したらしい。青木は、すぐさま絹子が家族惨殺の真犯人だと薪に報告し、記憶喪失が偽装だったに違いないと告げた。だが、薪は、刑が執行された露口の判決が覆ることはない、と青木に告げ、捜査内容を決して洩らさないようクギを刺した。絹子にMRI捜査が行われたことを悟られる中、青木は、絹子の隠された秘密を探るため、さらに露口の記憶の分析を進めて――。
-
第6話 キヌコ(後編)
別件を担当している曽我の資料写真をたまたま見た青木は、3年前に行方不明になっている高校生・池田達雄の姿が、露口の記憶にあると気付いた。露口が密かに調べ書き残していたメモによると、絹子の交友相手は全部で4人。そのうち、池田ともう一人の男が行方不明になった夜、露口は、絹子がシャワーを浴びているのを覗き見し、その服に付着した血痕を確認している。青木は、露口に池田らの殺害の事実を知られた絹子が、全てを隠蔽するために計画を練り、それを実行したと推理。自分を愛している露口の心を逆手に取って一家惨殺を行い、露口の死刑を見届けたとにらんだ。そんな中、絹子と交友のあった1人、13歳の少年・平井学が交通事故で死亡したとの連絡が入った。絹子がこの事故に絡んでいると見た薪は、直ちに学の脳のMRI捜査を指示。だが、学の両親に会った青木と岡部は、思わぬ壁に突き当たった。何と学は、生まれつき全盲だったため、MRI捜査をしても画像を得られないのだ。学の脳のMRI捜査が出来ないと知る絹子は、池田、学ら4人の殺害を臭わせる。そして、露口から、幼い頃、性的虐待を受けていたことをほのめかした。絹子が犯人だと確信しながらも証拠がないため、捕らえることができない第九の面々。だが、学が死亡した事故現場に行ってみた青木は、もう一つMRIの対象となる脳があることに気付いた。それは、事故で学と共に死んだ愛犬・ジップの脳。絹子の話から、学が事件現場に連れて行かれたと見た青木は、学といつも一緒にいたジップがその光景を見ているとにらんで…。
-
第7話 見えない顔
資産数兆円といわれる航空会社会長・荻島茂の自宅で、タバコの火の不始末が原因とみられる火災が発生。消防は、現場で一酸化酸素中毒が原因と見られる荻島の死体を発見した。だが、その顔に鋭い刃物による切り傷があったことから、警察庁は、第九に荻島の脳のMRI捜査を命じた。死亡する直前の荻島の視線を追った青木、天地、小野木田らは、寝室の棚にある模型飛行機を触った荻島が、“全財産を沖名潤に渡す”と記した自分の遺言状を見るのを確認。その後、睡眠導入剤を飲んだ荻島は、吸っていた葉巻を灰皿に置いたまま眠りに就いていた。独断専行のワンマンとして知られる荻島は、妻・聡子、正利、由里子という2人の子供との四人暮らし。だが、荻島の視線を調べた第九の面々は、よほどの人間嫌いなのか、家族を含めた全ての人間の顔がのっぺらぼうになっていることに気付き、ア然となった。荻島が自殺をほのめかしていたという正利。単なる不注意に違いないという聡子。荻島の死因は、家族の中でも意見が分かれた。遺言状に名前があった沖名潤は、母・沙耶子がスナック勤めをしている14歳の女のコだった。沙耶子と潤は、荻島とは面識がないと言う。また、荻島が仕事の合い間に、ふらりと川沿いの場所を散歩していたことも判明。さらに、会社の経営を巡って正利と対立していた荻島が、遺産を家族に渡さないと常々公言していたことも明らかになった。裁判所がMRI捜査で明らかになった遺言状を有効とする判断を下す中、薪は、潤にある頼みごとをした。それは、資料と荻島の記憶を元に、その散歩道を実際に歩いてもらうこと。まもなく、潤を地図に沿って歩かせた第九の面々は、意外な犯人と、荻島と潤の思わぬ接点に気付いて――。
-
第8話 改造
河原で猟奇殺人のような女性の死体が見つかった。被害者は、都内で勤務するOLの長谷川悦子で、死体は死後4日程経過していた。死因は、両方の乳房を鋭利な刃物で切り取られた際の大量出血によるショック死。乳房に生体反応があり、被害者に抵抗した形跡がなかったことから、警察庁は第九に捜査を命じた。MRI捜査によると、被害者の最後の視界は、手術室の様子だった。局部麻酔をされているらしい被害者の視線には、ブルブルと震える手が持つメスがある。そして、メスの先端を拡大した薪らは、そこに談笑する複数の人物が写っているのを確認した。薪は、この事件に性的な興奮を覚えるらしい“身体改造”が関係しているとにらみ、被害者のパソコンと映像に写っていた医療機器の両面から捜査を進めるよう指示。まもなく、被害者がファンだったカオスというバンドのメンバー全員が身体改造をしていることが明らかになった。この報告を聞いた曽我は、少し前に知り合った若い女性ミュージシャン・三枝梓のことを思い出した。梓は、曽我と話をした時、確かにカオスへの憧れを口にしていたのだ。医療機器からの捜査が行き詰まって程なく、被害者がタトゥーとピアスの専門店のサイトにひんぱんにアクセスしていたことが判明。さらに、MRI捜査で、被害者が、その店の主人・シドーから、ギャラリーの前での身体改造を勧められ、さらにそれがタダだといわれていた。シドーの取り調べを始めた曽我は、“身体改造ショー”に梓が出演することになっている、と知り愕然。まもなく、利き腕に障害がある元外科医・龍宮京也によって、ショーが行われると知った第九の面々は、慌ててその会場に向かって――。
-
第9話 *(アスタリスク)
若い女性を狙った通り魔殺人が続発し、ついに5番目の事件が発生。犠牲者の傾向の違いに気付いた第九の面々は、MRIによる捜査に乗り出した。5人目の犠牲者は、米田雄一という61歳になる一人暮らしの町工場の従業員だったのだ。死亡する5分前の米田の視線を追った薪らは、暗い公園内を走る映像の後、若い女がマスクで顔を隠した男に襲われている光景を見た。その直後、米田は、ナイフで切り付けられながらも必死で犯人にしがみ付いている。薪らは、犯人に素手で立ち向かっている米田に、勇気や正義感以外の何か強烈な意思が働いていると推理した。まもなく、タクシーの運転手の証言から、犯人に襲われていたのが村井絵里と言う女と判明。事情を聴かれた絵里は、米田が犯人とたたかっていた際、「よせ、アサミ!」と叫んでいた、と証言した。米田の脳のMRI捜査を続けた第九の面々は、一人のサラリーマンが絵里に狙いを付けているのを監視する米田の視線を確認。米田が1ヶ月も前から、男を自宅まで尾行していたことが分かった。そして、その自宅マンションの背景などから場所を特定した薪らは、男が、さち絵という妻と暮らすエリートサラリーマン・浅見透だと知った。浅見とさち絵は、米田を見た表情から、その正体を知らないらしかったが、さち絵を見た米田の目が涙でくもり、さらに公園で遊ぶ子供たちの顔が全てさち絵になっていることに気付いて――。
-
第10話 箱の中の鼠
FBIの研修を終えて帰国した警視正の長嶺が、警察官房の審議官に就任すると同時に、第九の副室長を兼任することになった。警察官房という部署は、警察庁の最高機密を扱う機関。長嶺がエリート中のエリートだと知った青木、天地、岡部ら第九の面々は、大いに沸く。だが、長嶺は、青木らの期待に反して、冷血動物のような思考回路を持つ男だった。青木がその長嶺に連れられてやってきた所は、地図にも載っていない施設だった。長嶺やそこの職員の話によると、施設は、死刑が決まった囚人を刑が執行されるまで保養させる所とか。ところが、この1ヶ月の間、死刑囚が相次いで殺害されていることが分かった。そして事件の寸前に、謎の停電があり、事件の瞬間を監視カメラが捕らえていないことも明らかになった。そんな中、施設で突然停電があり、平岡という死刑囚と同じ房にいた真壁という死刑囚が先を尖らせた歯ブラシで胸を突かれて死亡した。監視カメラのVTR映像によると、停電中に平岡が移動して真壁を刺したとはとても思えない。この事件のMRI捜査を命じられた薪は、さっそく真壁の脳のスキャンを開始した。真壁が事件の前に見ていたのは、死刑を前にして現れた様々な妄想だった。停電終了後の様子から推理すると、やはり平岡は、シロ。薪は、施設の管理体制の不備を指摘するが、長嶺はこの件をサラリとかわす。平岡らを尋問し、担当の医師の話を聞いた青木と岡部は、死刑囚らがとてつもない恐怖を伴うストレスを感じていることに気付いた。真壁が自分の殺した元恋人の亡霊におびえていたと判明する中、今度は、平岡が飛び降り自殺をしてしまった。この平岡の脳を検視した薪らは、長嶺が仕組んでいた驚愕の計画に気付いて――。
-
第11話 その首に手を出すな
京都での仕事を終えた青木が、薪の命令により、和歌山県の山中にある猿滑村で、他殺死体を回収することになった。被害者は、吉野晃という男で、別の事件の容疑者になっているとか。台風の大雨の中、村に到着した青木は、駐在巡査・横井始の案内で、公民館に安置されている遺体を確認した。MRI捜査では、死亡後48時間以内に脳をスキャナーにセットする必要があるのだが、死体はすでに死後24時間経過していた。連絡の行き違いから県警の到着は、明日の夕方。携帯が通じないと知った青木は、麓の警察まで死体を運ぼうと考えたが、駐在のミニパトカーのタイヤが何者かに切り裂かれていたため運搬は不可能。青木は、村人の中に潜んでいる犯人が、MRI捜査を妨害していると察知した。殺された吉野の村での評判は、極めて悪かった。吉野の妻は、村出身の美沙といい、3年前東京に働きに出た時、吉野に騙されて結婚していた。村に逃げ戻った美沙、その兄・仁木周造、美沙の友人・栗田華子、美沙の幼なじみ・佐々岡ひろしら村人の全てが吉野を恨んでいた。まもなく、青木は、華子のワンボックスカーに遺体を乗せて、村を出発した。だが、途中、タイヤがヌカルミにはまり、車は立ち往生。華子が人を呼ぶと村に戻って程なく、横井と共に残った青木は、尾根にある山小屋から第九の事務室との連絡に成功した。そして、麓のキャンプ場にヘリを飛ばすとの連絡を受けた青木は、吉野の頭部を切断し、車の中にあったクーラーボックスに入れて、山を下り始めた。しかし、猟銃を持った周造やひろしに追われることに。果たして青木は無事、MRI捜査をすることができるのか。
-
第12話 来訪者(前編)
9人の少年が、同じ日に別々の場所で自殺する連続自殺事件が発生。その経歴を調べた結果、9人が同じ時期に同じ少年院にいたことが明らかになった。青木らは、さっそくその原因究明のため、MRI捜査を開始。そんな中、所長の田城の話から、1年半前に第九内で起きたある事件のことが話題になった。当時、世の中は、28人の青年が残虐な方法で殺害される連続猟奇事件が発生し、大騒ぎになっていた。この事件の犯人として逮捕されたのは、貝沼清孝という男。だが、貝沼は、捜査を受けている最中、留置所内で自殺。焦った警察は、事件の全貌を解明するため、第九にMRI捜査を指示した。ところが、貝沼の脳を見ていた捜査官の一人で、薪の親友だった鈴木が、突如精神に異常をきたして、MRI装置を破壊し始めた。これを見て危険を感じた薪は、鈴木を射殺してしまった。自殺した9人の少年の記憶を分析した結果、いずれも自らの恐怖心が形になって目の前に現れていたことが明らかになった。少年たちは、その“恐怖”を見続ける苦しみに耐えられず、それぞれの方法で自分の命を断ったらしい。そんな中、少年たちの記憶に、少年院の同じ場所にいる映像を発見した薪らは、さっそく分析を進めた。それは、レクリエーション・ルームに集まった全員が慰問のヒーリングを受けているシーン。その映像から全員が催眠術に掛かっていると察知した薪は、あることに気づいて…。
-
第13話 来訪者(後編)
第九の面々が自殺した9人の少年と殺人鬼・貝沼の関係を調査し始める中、青木は、薪から貝沼との個人的な関係を明かされた。話によると、薪は、3年前、万引きで捕まった貝沼を見逃してやったことがあった。その時、薪は、生きる希望が見えてきたという貝沼に、自分の名前と連絡先を教えていた、という。青木は、万引きした貝沼を逮捕していれば、と薪が悔やんでいることに気付いた。貝沼は、自分の脳を通して、28人を殺した犯行を薪に見せようとした可能性があるのだが、薪が見たのはその一部。貝沼の記憶を全て見たのは、鈴木だけであった。鈴木に対し疑心暗鬼になっている薪を見て、青木は貝沼の脳を見た鈴木が何を考えたのか興味がわく。まもなく、9人の少年全員が自殺する6時間以内にプロ野球の優勝パレードの映像を見ていたと判明。少年院に慰問に行った貝沼が、ヒーリングと称して少年たちに死の催眠術をかけていたことが分かった。他のメンバーの調査で、死亡していない10人目の少年がいると知った薪は、自殺を食い止めるため、警察庁の屋上からヘリに飛び乗った。そんな中、薪は、ヘリを操縦しているのが青木だと知った。操縦桿を握りながら、貝沼の狂気の世界をまるで見てきたかのように話し始める青木。薪は、貝沼の脳がすでにこの世には存在しないはずなのに、と首をひねる。だが、話を聞くうち、薪は、青木が鈴木の脳を見てしまったと気付いた。そして、貝沼の狂気が、鈴木経由で青木に感染したのかと思い――。
-
第14話 赤いハイヒールの女
都内で靴メーカーの社長・有島圭輔が惨殺される事件が発生。さっそくMRI捜査を行った第九の面々は、有島が赤いブランド物のハイヒールを履いた人物に殺害されたと知る。有島が殺されたのは、愛人でホステスの児島マユミの家に行った帰り道。マユミが問題のハイヒールを有島からプレゼントされていたと知った青木らは、直ちに裏付け捜査を始めた。一方、有島の新婚の妻・沙織に会った岡部らは、沙織が愛人の存在に気付いていたことを確認する。沙織の話によると、有島とレストランで食事をしている時、マユミが有島の秘書・尾上未映子と一緒にその席にやって来たとか。だが、岡部らは、有島が沙織にも、マユミと同じハイヒールをプレゼントしていたと知り、ア然。さらに、未映子も有島の第2の愛人だったことが明らかになる。まもなく、有島、沙織、マユミ、未映子がかち合ったレストランのシーンを有島の脳内映像でたどった薪、岡部らは、沙織の存在に気付いた未映子がそれとなくマユミを逃がしていたことに気付いた。その後、沙織と未映子は、連れ立って化粧室に行っている。だが、そのシーンを注視した薪らは、未映子の足元にも例の赤いハイヒールを発見。第九の面々は、容疑者が合計3人になったものの、一向に進展しない捜査に頭を抱えた。そんな中、例のハイヒールをなくしたという沙織が、ホストの元村ヒロトと不倫をしていたことが判明。元村が仕事で女装をしていたため、容疑者は4人となってしまった。しかし元村の身にあることが起こって…。
-
第15話 哀歌
銃を手にした若い男が、乳児を抱えた母親を人質に取って、空港ロビーに立て籠もる事件が発生。犯人は、第九に対し、奇妙な要求を突きつけた。それは、昨日、ガンで死亡した元都会議員・佐々木恒彦の17年前の記憶をたどれ、というものであった。薪は、佐々木の怨恨関係の捜査を指示する一方、佐々木の妻・恵津子にMRI捜査の承諾を得るよう青木と天地に命令した。佐々木は、恵津子の父親の議員秘書を経て、30歳の時に一人娘の恵津子と結婚。3年前、義父が死亡したため、その地盤を継いで選挙で当選し、晴れて議員となった。しかし、その後、佐々木の体に、ガンが発症したのだ。恵津子を説得した第九は、佐々木のMRI捜査を開始。その結果、17年前の佐々木が乳児と暮らす女性を殺害していたことが明らかになった。事件はすでに時効となり、しかも加害者の佐々木が死亡しているとあって、第九の面々は、立て籠もり犯の目的が分からない。しかし、17年前の資料を調べていくと…
-
第16話 ファイナル・テイク
映画監督の狭川修平が自宅の庭先で刺殺される事件が発生。監視カメラの映像をチェックした警察は、般若の面を被った人物が犯人と見て捜査を開始。狭川の死ぬ間際の口元を分析した結果、「スミレ」とつぶやいていたことが明らかになった。狭川は、数本の傑作を世に送り出し巨匠といわれたが、目を患って全盲となり、30年前に惜しまれながら引退、以降、隠居生活を送っていた。委員会の要請を受けた第九の面々は、狭川の妻・和歌子の了解が取れたことから、検視を開始した。全盲の狭川の死亡直前の脳内記憶は、当然のことながら真っ暗だった。ところが、死亡する直前、赤いナナカマドやツララが美しい雪原の風景、般若の面を外した少女の映像などがモニターに出現。薪は、家政婦の嶋沢サキの証言を元に捜査を命じる一方、狭川の記憶に甦った少女の正体を探るよう指示した。そんな中、30年前、狭川が通院していた病院の看護師だったという和歌子が、狭川のMRI映像を見たいと言い出した。涙ながらに訴える和歌子に、疑問を抱く薪ら。だが、事件発生時の和歌子には、完璧なアリバイがあった。一方、小野木田は、問題のMRI映像が狭川の作品内にあるかをチェックするが見当たらなかった。雪原の風景を元に調査を進めた青木と岡部は、狭川が高校時代に書いた処女作のシナリオの中に般若の面を持った少女が登場することを突き止めた。さっそく狭川の高校時代の記憶をたどった青木らは、狭川とスミレ役に決まった女優を夢見る少女が、将来、一緒に映画を作ろうと約束しているシーンを探し出して…
-
第17話 目撃
都内で阿久津と林崎という2人の警官が連続して射殺される事件が発生。林崎の脳を検視した結果、犯人が、元警察官で、曽我の警察学校時代の同期・西条伸一と判明した。西条が警察を辞めた理由は、熊井という上司を殴ったことによる懲戒免職。西条が銃弾を改造して殺傷力を高めていたことから、強い恨みを抱いた上での犯行と思われた。林崎の脳を検視した青木らが注目したのは、ある警察の不祥事の現場だった。それは、西条、阿久津、林崎、熊井の4人が、1人の少年を追い詰めた場面で、何と凶器を持たない少年を熊井が射殺。これに気付いた林崎が死んだ少年の手にナイフを握らせた後、阿久津が西条に口止め。熊井が警視庁のキャリア組で、法務大臣の甥だと知った第九の面々は、事実の隠蔽が成功したのだと気付く。まもなく、西条が熊井を追っているとの情報を得た曽我と薪は、現場に急行し、説得を開始。ところが、スキを見せた西条を、熊井が射殺してしまった。西条の脳を検視した曽我らは、西条が上司に熊井の不祥事を報告したにもかかわらず、それが握り潰されていたと知った。だが、話はそれで終わらなかった――。
-
第18話 誰も見ていない(前編)
都内を走る私鉄新宿線の沿線の公園や草むらで、ナイフを使う同じ手口の殺人が3件続けて発生した。被害者は、サラリーマン、主婦、女子高生とさまざま。この新宿線では、1週間前のラッシュ時の車内で、里中という薬剤師が刺殺される事件があった。薬剤師殺しで目撃者がひとりも現れていなかったことから、薪は、連続殺人との関連を調べるよう指示した。まもなく、第4の殺人が発生。すぐさま、4人目の被害者、女子高生の岸谷理香子の脳の検視が始まった。そして、その記憶映像を分析した結果、連続殺人事件の4人の被害者全員が薬剤師の殺された車両に乗っていたことが判明。怪しいヒゲの男と、メガネの男が重要参考人として浮かび上がった。そんな中、青木は、4人の被害者たちの爪に興味を抱いた。検視映像によると、殺される直前の理香子の爪は、黒ずんでおり、他の被害者たちも全員が自分たちの爪を見ていたからだ。だが、解剖担当の監察医・三好雪子は、死体には何の問題もなかった、と断言する。しかし、青木は、死亡すると症状が消える可能性のある何らかの感染症が関係しているのではないか、と雪子に改めて頼んで――。
-
第19話 誰も見ていない(中編)
新宿近くのカプセルホテルで発見されたヒゲの男の変死体を見た青木は、それが薬剤師刺殺事件の重要参考人だと気付いた。救護隊員の話によると、発見当初真っ黒だった男の爪は、時間の経過と共に、黒ずみが薄くなったとか。報告を受けた第九は、連続殺人事件の被害者や、カプセルホテルの死体から、レベル4の強力なウイルスが検出されたため、バイオテロの可能性もあると見る。“犯人が死ぬ確率の高い乗客たちをあえて殺害した理由とは”“ウイルスの正体とは”と、様々な疑問が第九の中で渦巻く。薪は、二次感染者の増加を何としても防ごうと、刺殺現場の車内にいた乗客を特定する作戦を開始した。まもなく、薬剤師が刺殺された電車内で、犯人が新種のウイルスに感染していたかもしれない、というニセの情報がマスコミに流された。新たな二次感染者が死亡したと知った薪は、焦りを隠せない。そして、司法解剖の途中、誤ってウイルスに感染したらしい雪子にも心配を募らせた。恐怖に駆られた乗客たちが次々と出頭する中、刺殺された薬剤師・里中恭子の脳の検視が始まった。その記憶映像によると、最初席に座っていた恭子は、ひとりの老婆に席をゆずろうと立ち上がるが、近くにいたヒゲの男が強引に座ってしまう。これを注意した恭子に、ヒゲの男は、ナイフを突き立てた。その後、ヒゲの犯人と別の若い男が揉み合いになったのだ。その若い男の話している言葉が中国語らしいと知った薪は、直ちに中国語の読唇術の専門家を手配する。ところが、そこに現れた青木は、自分の黒い爪を示しながら、思わぬことを口にした。
-
第20話 誰も見ていない(後編)
自ら囮になった青木が捜査を始める中、ヒゲの男と共に重要参考人になった若い男の正体が判明する。男は、7年前に大手薬品メーカーの研究生として来日した中国人の張真。会社の同僚の話によると、張の細菌研究者としての知識や技量は一流らしい。第九と連絡を断って捜査を進めていた青木は、黒くなった爪に視線を向ける一人の男に気付き、その動きに注目する。ところが、その男は、青木の予想に反し、急にひとりの老婆に声を掛け、ナイフを突きつけて捕まえようとした。実は、その老婆・水上としは、事件の直前、殺された薬剤師・里中恭子に席を譲られていた人物だったのだ。何としても張を捕まえたい青木は、としに逃げるよう告げ、ホームにいた岡部や曽我と共に張を追いかける。そして、青木らは、としを執拗に追いかけようとした張の確保に成功した。青木らは、直ちに感染者が救われる方法について張に問い質した。これに対し、張は、ウイルスへの耐性の強い更年期の感染者、つまりとしの血漿が有効だと証言。まもなく、としの血漿によって、ウイルス感染者たちが順調に回復を始めた。張の取り調べで、思わぬ事実が判明し…。
-
第21話 侵食
薪は、死亡した鈴木の脳データの再調査を申請していた。そんな中、第九の初代オペレーターだった蜂谷美雪が死亡したとの連絡が入り、委員会からMRI捜査の指示が出た。美雪の死因は、マンション5階にある自宅テラスからの転落死。美雪には、夫・耕介と生まれたばかりの赤ん坊がおり、耕介は自分が突き落としたと自供。また、美雪が、信者の行方不明が多発している新興宗教『神のゆりかご』に入信していたことも明らかになった。脳の検視が始まって程なく、第九のコンピューターが突然外部から攻撃された。プログラムが暴走し、画面には、無数の“GOD”という文字が出現。小野木田は、全てのケーブルを斧で叩き切り、何とかコンピューターを強制終了させた。青木と天地が会った教団代表の白岡は、美雪が第九に所属していたことに悩んでいたと証言したが、一方、教団には悪いウワサも流れていた。転落現場の写真によると、美雪はベランダから落下した際、自分の頭をかばっており、その血液からは薬物反応が出た。美雪が自分の脳のMRI捜査を希望していたと察し、検視を再開する。
-
第22話 カウントダウン
休日に第九MRIルームで装置のメンテナンスをしていた小野木田が、長嶺から、ひとりの高校生の脳を検視するよう指示される。この生徒は、先日、教師をめった刺しにして殺し、特殊部隊に射殺された高橋修一。長嶺によると、高橋が、事件の前、どこかに爆弾を仕掛けた可能性が高いらしい。すぐに検視を始めた小野木田は、高橋が、その日に閉園となる遊園地・メルヘンランド内に爆弾を仕掛けたと確認し、直ちに第九の仲間たちに緊急呼び出しを行う。偶然にもメルヘンランドに行っていた青木、天地、曾我の3人は、直ちに現場での活動を開始。園長に事情を明かし、入園者全員の避難を要請した青木らは、第九からの次の指示を待った。第九に薪やみちるが到着する中、さらに検視を進めた小野木田は、高橋が爆弾のタイマーを2時間後の19時にセットしたと確認。連絡を受けた青木らは、現場に到着した岡部と共に入園者の避難を急がせた。爆弾の隠し場所がSL型コースターの人形の中らしいと判明したため、連絡を受けた青木らは、すぐにコースターからの避難を完了した。ところが、爆発時間が迫る中、客の女の子がヌイグルミを忘れたとSL型コースターの現場に戻っていることが分かる。青木は、急いで女の子の救出に向かうが――。
-
第23話 SEARCH MY BODY(前編)
東京郊外にあるラブホテル内で、猟奇的とも思える男女の死体が見つかった。ドラッグを打っていた形跡のある男の死因は、メスで自分の頚動脈を切ったことによる自殺だったのだが、そのかたわらに横たわっていた女の頭部には何と脳がなかった。さっそく、男の脳を検視した青木と天地は、自殺する直前の男が鏡に向かって「あの悪魔に対する最後の抵抗だ」とつぶやいているのを確認した。そんな中、第九に脳医科学研究所の所長を名乗る七瀬彰子という女が現れ、2人の死体の返還を要求した。七瀬の話によると、2人は、研究所に併設されている心療内科病棟の患者。4日前に病死した女性患者は、脳バンクのドナーとして登録していたため、脳を摘出されていた。ドラック中毒だった男性患者は、何らかの理由で、その女性の死体を持ち出したらしい。死体が返還されて程なく、男性患者の脳のデータを見た天地が、突然有給休暇を取る。そして、その翌日、警察庁に衝撃が走った。第九の薪宛にキャリーケースが届けられ、その中から天地の写真が添えられた脳が発見されたのだ。分析の結果、その脳が天地のものであると判明。切断面、縫合処理などから見て、脳の摘出がプロの仕業によるものと見られた。さっそく行われた脳の検視で、有給休暇の次の日、天地が、どこかの公園で車椅子の中年男性と一緒にいるのを確認。天地が、何者かからのメールを見た直後、頭部を殴られていたことが明らかになった。天地が見たメールの文面は、『この女は、スケープゴートだ。2人目を出すな』――薪らは、犯人がその文面を、脳を検視する第九に見せるために、天地に送信したと察知。犯人の目的が、第九を潰すためだとにらんだ。
-
第24話 SEARCH MY BODY(後編)
第九に送りつけられた天地の脳を繰り返し検視した青木らは、赤ん坊がナンバリングされているラブホテル事件の男の脳の映像を見たことに気づく。さらにパソコンを調べた結果、有給休暇を取った天地は、七瀬が所長を務める脳医科学研究所に行ったらしいことが分かった。天地の脳の一件がマスコミに流れて大騒ぎになる中、青木と曽我は、山梨の山中のヒノキの森の中にある脳医科学研究所を偵察した。高い塀で囲まれ、隠しカメラまで設置された研究所は、訪ねても応答がなく、2人は内部に入ることが出来ない。薪は、生命維持に必要な小脳と脳幹が送られてこなかったことから、天地がまだ生きている可能性があると見て、捜査を急がせた。自分が夢でうなされた青木は、天地の夢をみれば居所がわかると思い検視するが…
-
第25話 犠牲(サクリファイス)
異常なストレスから心停止となった薪が回復して程なく、警察内部の極秘資料が洩れているらしいと判明。さらに、FBI捜査官・アナミの報告から、第九のMRIシステムから脳の情報が流出している可能性が高まった。小野木田の師匠・シュベルツ博士の発明したMRIは、あらゆるリスクを想定しており、セキュリティホールがあるとは考えられない。青木は、MRIから極秘情報を盗んだ第九の関係者の誰かが、鈴木の脳の再検査によって何かがバレるのを怖れて妨害している、と推理する。そんな折、病院を抜け出した薪が、自分の恐怖心と戦うため、第九の機密室に閉じこもり、鈴木の脳を全て検視した。そして、何とか恐怖心に打ち勝った薪は、鈴木の記憶のデータファイルがいくつか消されていることに気付いた。機密室に出入りしたのは、鈴木の脳を検視した薪と青木、破壊されたMRIを修復した小野木田とアメリカ人エンジニアのコンシダインの4人だけ。まもなく、その小野木田が行方不明となり、GPSでも捕捉できなくなった。薪は、直ちに所長の田城に報告し、消された鈴木の記憶データに本当に恐ろしいものが写っていたのではないかと説明する。さらに、コンシダインが1週間前に脳を打ち抜かれて殺されていたと知った薪は、直ちに小野木田の電波が消えた筑波方面のルートに向かい捜索を開始した。渓流沿いで何者かの車に轢き殺されかけた薪は…。
-
第26話 楽園(パラディソス)
小野木田の脳を検視すると、MRIシステムを作ったシュベルツ教授から、非常事態を補うため第九のMRIで検視された脳のデータが、嵯峨博士が管理する脳科学研究所にバックアップデータとして送られていたという事実を聞かされていたことが発覚。映像を見てシステムを開く暗証番号を頭に叩き込んだ薪は、大急ぎで博士のもとへと向かった。嵯峨の協力を得て、薪は、第九のMRIシステムから消去されていた鈴木の記憶を第九に逆送させる。第九にいた青木、岡部らは、直ちに鈴木の記憶のチェックを始めた。消去されていた鈴木の記憶は、貝沼が拘置所内で第九の田城所長と話をしている場面で、内容は、いずれ死刑になる貝沼の脳を、何らかの条件で薪本人に検視させる、というもの。映像には、拘置所のトイレの鏡の前に立った貝沼が持っていたスプーンでチラチラと輝く光を自分の目に当て始める姿が映っていた。それを見た岡部は、慌てて第九のメンバーたちにモニターから目をそらすよう命令し、MRIのスイッチを切った。そんな中、拳銃を手にした薪が、第九に乱入し、モニターなどに向けて発射し始めた。青木は、身を挺して薪を制止。しかし、薪の身に突然…。