- 地域:日本
- タイプ:TV
- 正式名称:機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- 英語名:Kidou Senshi Gundam SEED Destiny / Mobile Suit Gundam SEED Destiny
- 中国語の名前:机动战士高达SEED DESTINY
- 他の名前:机动战士特种命运 / 机动战士钢弹 SEED DESTINY
- 放送開始:2004-10-09
- 放送状況:放送終了
- タグ:SF / 機戦 / 戦闘 / 原创
- 原作:矢立肇 / 富野由悠季
- 監督:福田己津央
- シナリオ:大野木寛 / 両澤千晶 / 兵頭一歩 / 野村祐一 / 森田繁
- 絵コンテ:谷田部勝義 / 高田昌宏 / 鳥羽聡 / 福田己津央 / 山口晋
- 演出:西山明樹彦 / 山口晋 / 西村大樹 / 谷田部勝義 / いとがしんたろー
- 制作会社:サンライズ
- 家族:機動戦士ガンダムSEED
- Rating:16+
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』
C. E.70・・・。
「血のバレンタイン」の悲劇によって本格的な武力衝突へと発展したザフト・地球連合軍の戦いは熾烈を極め、多大な犠牲を払いながら第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ののちに停戦条約が締結された。
しかしこの停戦条約によってナチュラルとコーディネイターの争いの火種が消えたわけではなかった。
その戦乱の中、シン・アスカは地球防衛軍のオーブ侵攻に巻き込まれ、戦火を逃れる最中に、眼前で両親と妹を失う。
唯一の形見、妹の携帯電話を握り締め悲しみにくれる中、頭上をこの戦争の元凶である「モビルスーツガンダム」が飛び去って行った。
失意のうちにオーブを去った彼は、ブラントへと渡る。
そしてC. E.73彼はザフトの戦士となっていた・・・。
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第1話 怒れる瞳
地球連合、ザフトは多大な犠牲を双方に出した第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の後、ユニウスセブン跡において停戦条約を締結。しかし、ナチュラルとコーディネイターの争いの火種が消えたわけではなかった。 C.E.73・10。オーブの代表首長となっていたカガリ・ユラ・アスハはアスラン・ザラ(公には別名「アレックス・ディノ」を名乗っている)を伴ってL4に新設されたザフトのプラント「アーモリーワン」を訪れていた。再び燻り始めた両陣営での不穏な動きを懸念し、最高評議会議長ギルバート・デュランダルと極秘会談の場を持つためであった。その時、突如鳴り響く警報! 新造艦「ミネルバ」の進水式を狙った謎のグループが破壊活動を起こしたのだ。さらに彼らは混乱に乗じ、ロールアウト直前の新型MS「ガンダム」を強奪する。再び起こってしまった戦いを前に戸惑うカガリ。爆煙の中アスランは彼女を守るため手近のMS「ザクウォーリア」に乗り込み奪われたカオス・ガイア・アビス、3機のガンダムを相手にする。しかし複数の上、スペックで上回る敵に窮地に立たされてしまう!絶対絶命のその瞬間、双方の間に割って入ったもう一機の新型MS。その機体こそシン・アスカの搭乗するインパルスガンダムであった。
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第2話 戦いを呼ぶもの
突如、プラント「アーモリーワン」で起こった謎のグループによる「ガンダム」強奪。ザフトの新議長ギルバート・デュランダルとの会談に臨んでいたオーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハは随伴していたアスラン・ザラと共にこの奇禍に見舞われた。 カガリを守るため、緊急避難的にザクウォ-リア乗り込んだアスランであったが奪われた3機のガンダムとの戦闘により窮地に陥ってしまう。そのあわやの場面に割って入ったのがシン・アスカの搭乗するインパルスガンダムであった。 激突するカオス・アビス・ガイア対インパルス! 同じ頃、アーモリーワンの外では強奪グループを送り込んだ特殊部隊の母艦「ガーティ・ルー」が司令官ネオ・ロアノークの指揮のもと行動を開始。電撃的にザフト護衛艦隊を撃沈、さらに港湾部を破壊してしまう。この動きに呼応するかのように強奪グループのスティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェは撤退を始める。プラント壁面を打ち抜き脱出を試みる3Gに対して追いすがるインパルスとレイ・ザ・バレルのザクファントムであったが、宇宙ではネオのMA「エグザス」が待ち受けていた。 この不測の事態に対しザフト新造艦「ミネルバ」艦長タリア・グラディスは艦の発進を決意した!
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第3話 予兆の砲火
強奪された3機のガンダムを追い、シンとレイはアーモリーワンの外へと出る。が、そこで待ち受けていたのは連合特殊部隊司令官ネオ・ロアノークであった。老練なネオは「MA エグザス」の全方位攻撃で2機を翻弄する。すんでのところで彼らを救ったのは急遽出撃したミネルバであった。両者の間に割って入ったミネルバはそのまま敵母艦ガーティ・ルーを攻撃。が、ガーティ・ルーは予備の推進タンクを爆破し追撃を振り切った。追撃を続けるミネルバの艦内には、3機のガンダムと交戦したアスランとカガリが収容されていた。急を要する事態の為、2人をオーブに戻すことが出来ずその非礼を詫びるデュランダル。彼はプラントとオーブの友好の証にとミネルバ内の案内を申し出た。ミネルバとインパルスの想像以上の戦力を目の当たりにし、憤りを覚えるカガリ。「我々は誓った筈だ! もう悲劇は繰り返さない、互いに手を取って歩む道を選ぶと!」その言葉に過剰に反応し、 彼女に怒りをぶつけるシン!その時鳴り響く艦内のアラート。再びガーティ・ルーを捕捉し戦闘準備に入ったのだ。デブリ帯を舞台にした戦いが始まろうとしていた。
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第4話 星屑の戦場
敵母艦ガーティ・ルーを追い、デブリ帯に突入したシンとルナマリア達。が、レーダー上の敵は迎撃の動きすら見せない。それが囮だとタリアとアスランが気付いた瞬間、シン達は待ち伏せしていたカオス、ガイア、アビスの襲撃を受ける。同時にミネルバ自身も身を潜めていたガーティ・ルーに背後から攻撃を受けた!ネオの策略に嵌ったのだ。 戦力を分断された上、浮遊する岩石に邪魔をされ攻撃もままならないミネルバ。ネオは更にその岩石をも巧みに使い艦の動きを封じる。その絶体絶命の窮地を救ったのはアスランの助言であった。至近距離での砲撃の爆圧を利用し、一気に回頭したミネルバは即座に反撃、ガーティ・ルーにダメージを与えた。が、ミネルバにもそれ以上の余力は無く追撃は断念せざるえなかった。ミネルバの初陣は痛み分けという形を持ってここに終結した。その頃、別の宙域では未曾有の事態が起こり始めていた。安定軌道にあったはずのユニウスセブンが地球に向けて降下し始めたのだ。
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第5話 癒えぬ傷痕
ガーティ・ルーとの激闘を切り抜けたばかりのミネルバに入った急報。それは更なる、そしてより深刻な凶報であった。停戦条約締結の地であり、血のバレンタインの悲劇の舞台、ユニウスセブンが安定軌道を外れ地球に向け落下し始めたのだ。事態を重く見たプラントはイザーク・ジュールを隊長とした破砕部隊を急行させ、ミネルバも後に続いた。同じ頃、地球でも動きを察知、そしてこの機に乗じてロード・ジブリールを新盟主としたブルーコスモスが再び動き出そうとしていた。現場に到着したイザーク隊は直ちにメテオブレイカーに因るユニウスセブンの破壊作業を開始。が、その時謎のジンの一団が工作隊を急襲!異変は人為的なものであったのだ!ミネルバも工作隊をフォローすべくMS隊を発進させる。そして、その中には自ら志願したアスラン・ザラの姿があった。
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第6話 世界の終わる時
地球へ落下を始めたユニウスセブンを破壊するために、現場に急行したイザーク隊が謎のジンの一団に襲撃された。異変は人為的なものだったのだ。工作隊を守るためミネルバからシン、レイ、ルナマリア、そしてアスランが発進、同じく自らも出撃したイザークと合流し、テロリストとの戦闘に入った。が、そこへ逃走したはずのガーティ・ルーが介入。カオス・アビス・ガイアが参戦し、戦局は大混乱に陥る。戦いの最中、敵を圧倒するアスランとイザーク。それを目の当たりにし驚嘆するシン。ヤキン・ドゥーエの勇士は健在であった。彼等の活躍により工作隊はメテオブレイカーの起動しユニウスセブンは分割された。しかし未だその破片は大きく、ミネルバはそれをさらに砕く為に共に大気圏に突入することを決める。一方アスランとシンも出来る限り破片を細分化するため、残されていたメテオブレイカーの起動を試みる。だがそれを阻止しようと残るテロリストが玉砕をしかけた。彼等は血のバレンタインで家族を失い、パトリック・ザラの思想をその拠として生きてきた者達であった。己と同じ境遇を持つ人間に自爆攻撃を受けるシン。否定され続けた亡き父を、命をかけ肯定する人間に出会ったアスラン。衝撃と動揺のなか2人は大気圏へと落下していく。
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第7話 混迷の大地
最後までユニウスセブンの破壊を続ける為ミネルバは共に大気圏に突入、そのまま地上に降下した。 が、その行為を持ってしても惨事は免れることは出来ず、地球各地は甚大な被害を受けてしまった。そしてこの事件は再びブルーコスモスの息を吹き返す切っ掛けを与えることになった。新盟主ロード・ジブリールは母体である「ロゴス」の長老連を説き伏せ、大西洋連邦への介入を画策していた。一方カーペンタリア基地に向かうつもりだったミネルバは宇宙で受けたダメージの修理とカガリを送り届ける為にオーブへと向う。 そのオーブの浜辺では前大戦以来、隠棲しているキラ・ヤマトが激動の運命を予感していた。
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第8話 ジャンクション
オーブに入港したミネルバは修理と補給の為、モルゲンレーテのドックに入った。代表首長として政務に復帰したカガリはウナト等首脳陣から地球とプラントの関係が抜き差しならない状況になっていることを知らされる、そしてそれに対するオーブの立ち位置の決断を迫られようとしていた。 一方、つかの間の休暇を楽しむクルー達。そこでは互いを知らず様々な出会いを果たしていた。ドックでのマリューとタリア。複雑な思いのまま、家族の亡くなった地を訪れたシンと彼の地で独り佇んでいたキラ。アスランもまたキラと会い、再び行くべき道を模索し始める。そして彼はカガリに約束の指輪を渡しデュランダルの元へと向う。
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第9話 驕れる牙
地球連合は、「ユニウスセブン落下事件」をザフトの仕業と決め付け、プラントを敵性国家と見なす共同声明を発表。地球軍の月面基地では、開戦へ向けて着々と準備が進んでいた。プラント政府の最高評議会は紛糾し、開戦派の意見が主流を占めようとしていたが、デュランダルはあくまでも対話による解決を主張。とは言え、当座は降り掛かる火の粉を払わねばならない。目の前に迫った地球軍の攻撃に対して、国防委員会はプラントを守るために軍を動かす。その頃、プラントへ着いたアスランは、和平を訴えるべくデュランダルへの面会を求めていた。 地球軍はプラントへの開戦を通告し、進軍を開始。イザークやディアッカらのザクが迎え撃つが、その部隊は実は囮だった。別動隊のモビルスーツが、プラント目掛けて核ミサイルを次々と発射する……が、ザフト艦の新兵器・ニュートロンスタンピーダーの一撃が、迫る核ミサイルを全て迎撃。プラントは、最大の危機を脱した。一方待たされていたアスランは、ラクスそっくりの少女にいきなり抱きつかれる。彼女が去った後も戸惑い続けるアスランの前に、ようやくデュランダルが姿を現した。
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第10話 父の呪縛
アスランは、地球連合がプラントへ核攻撃を仕掛けたとデュランダルに聞かされ、驚愕。彼は偽名を捨ててアスラン・ザラを名乗り、父・パトリックの言葉を否定した上で、デュランダルへ和平を訴える。激昂するアスランに、デュランダルは「負い目に思ってはいけない」と、優しく諭すのだった。 その頃プラント市内は、連合の核攻撃を知らされ騒然としていた。そこへ、あらゆるモニターから聞き覚えのある声が流れ、気持ちを静めるよう人々へ訴え始める……。ラクスとそっくりの少女ミーア・キャンベルが、彼女を騙って演説していたのだ。 デュランダルは、ラクスの偽者を用意したことをアスランに白状すると、彼を連れて軍の格納庫へ向かった。そこにあった新型機・セイバーガンダムを前に、デュランダルはこの機体をアスランに預けたいと言い出す。父のことで悩み苦しみ、誰よりも平和を望んでいるアスランだからこそ、いざというときには力のある存在であって欲しいと言うのだ。考え込むアスランを、ミーアが食事に誘う。プラントのために、ラクスの代わりを喜んで演じている彼女を前に、アスランは思い悩む。
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第11話 選びし道
プラントの最高評議会は、ジブラルタルとカーペンタリアを包囲している地球軍への攻撃を決定。が、デュランダルはこの侵攻を報復ではなく「積極的自衛権の行使」であると明言し、戦火が拡大しないよう配慮する。 時を同じくして、オーブ議会では大西洋連邦との同盟締結が決定されようとしていた。必死に同盟を拒むカガリであったが、「伝統や正義、正論よりも、国民の安全のことをお考え下さい」と言われると、引き下がるしかない。 その頃プラントに滞在していたアスランは、イザークやディアッカと再会していた。二人は、アスランの護衛・監視のために派遣されてきたのだ。かつての戦友・ニコルらの墓を訪れたアスランに、イザークはザフト軍へ戻るよう強く勧める。プラントの降下作戦と、それに呼応したオーブ・大西洋連邦の同盟締結を察知したバルトフェルドは、ミネルバへ匿名の警告を送る。タリアは出航を決断する、ミネルバは翌朝オーブを離れたが……すでに領海外では、地球軍の艦隊がミネルバを待ち受けていた。 その頃カガリは、己の不甲斐なさに落ち込んでいた。そんな彼女に、ユウナは優しく告げる「僕が君を支える……夫として」と。
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第12話 血に染まる海
退路を断たれたミネルバは、正面突破を余儀なくされる。ルナマリアとレイは艦の守備に就き、シンはウインダムを次々と迎撃していく。……が、地球軍の新型MA(モビルアーマー)「ザムザザー」が投入されると、戦局は一気に不利に。内蔵するリフレクターでタンホイザーの一撃をも跳ね返したザムザザーが、インパルスを追い詰める。絶体絶命のそのとき……シンのSEEDが弾けた。ミネルバからのデュートリオン・ビームでエネルギーをチャージしたインパルスは、ザムザザーを一蹴。続いてソードシルエットに換装すると、鬼神のように地球軍の戦艦を切り裂き、次々と沈めていく。その圧倒的な強さに、ミネルバのクルーも含めた全ての人々は、絶句するしかない。 その頃プラントでは、アスランがザフトの赤服に袖を通していた。デュランダルに特殊部隊・フェイスの徽章を与えられ、平和のために再び戦う決意を固めたアスランは、新たな機体・セイバーガンダムを駆って飛び立つのだった。
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第13話 よみがえる翼
シンの活躍によってミネルバは絶体絶命の危機を脱し、カーペンタリアへ進路を取った。一方、物思いに沈むカガリの前に現れたユウナは、彼女へ結婚を迫っていた。この不安定な情勢下であればこそ、二人の結婚は国を結集するのに役立つだろうし、コーディネイターであるアスランやキラは、今や国の母となる彼女とは住む世界が違うのだ……。ユウナの言葉に、カガリは思い悩む。 その頃、キラたちも決断のときを迎えようとしていた。オーブと大西洋連邦との同盟が締結されれば、コーディネイターであるキラたちはオーブに留まれなくなるのだ。その夜キラの家を、コーディネイターの特殊部隊が強襲した。彼らの目的は、ラクスを暗殺すること――キラらは地下のシェルターへと避難するが、特殊戦使用MSアッシュの火力が、ついにシェルターの外壁を破壊する。なだれ込む、アッシュの部隊……そのとき、突如現れた白い機体が、アッシュの部隊を瞬く間に一掃した――。ようやく昇り始めた日の光を浴びながら、封印から解き放たれたフリーダムガンダムが姿を現す。搭乗するキラの瞳には、強い決意の光が宿っていた。
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第14話 明日への出航
ラクスを暗殺しようとした一団が使っていた機体は、ザフト正規軍の最新鋭機・アッシュだった……。情勢不安定なオーブからプラントへの移住を考えていたキラたちは、他の選択を余儀なくされる。そこへ訪ねてきたカガリの乳母・マーナは、カガリとユウナの結婚が決まったと伝え、キラへ手紙を手渡した。 カガリからの手紙には、アスランから渡された指輪が同封されていた。彼女はオーブの代表としての責務を果たすため、ユウナと結婚するというのだ。アスランへ返しておいて欲しいと頼まれた指輪を見つめながら、キラはある決意を固める。 ついに、婚礼の日がやってきた。が、カガリの顔には花嫁らしい晴れやかさは微塵もない。今の彼女には、アスランとの日々を思い出しながら、諦めの表情を浮かべるしかないのだ。間もなく、結婚式が始まる……。その頃マリューらは、密かに改修したアークエンジェルを発進させていた。キラの駆るフリーダムは、オーブ市内へ飛び立っていく。 突然式場に現れたフリーダムに、唖然とするカガリ。キラはそんな彼女をさらうと、警備していたオーブ軍を尻目に、アークエンジェルと共に海中へ姿を消すのだった……。
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第15話 戦場への帰還
ミネルバと合流するため、アスランはセイバーを駆ってオーブへ向かう。が、大西洋連邦と同盟を結んだオーブは彼の入国を拒み、すでにミネルバも出港した後だった。アスランは入国を諦め、ミネルバの後を追う。 一方アークエンジェルでは、結婚式場から連れ去られたカガリが、キラたちを問い詰めていた。憤るカガリに、キラはアスランの指輪を手渡しながら、優しく語りかける。「僕たちは今度こそ、正しい答えを見つけなきゃなんない」――その言葉に、カガリは泣き崩れる。 その頃アスランは、カーペンタリアに停泊中のミネルバと合流。カガリが結婚式の最中にさらわれた一件を聞かされ呆然とするが、犯人がキラたちだと知り、ひとまず安堵する。デュランダル議長からの新たな命令書とFAITH(フェイス)の徽章をアスランから手渡されたタリア艦長は、複雑な表情を浮かべる。ミネルバの新たな任務は、ジブラルタルでスエズ攻略戦を行っているザフト駐留軍への支援だったのだ。 今後ミネルバは、国家間・民族間のデリケートな問題を踏まえつつ、独立の気運が高まる内紛地帯へ介入しなければならないのである。 新たな戦場へ向かうミネルバ。その艦影を捕捉したネオは、不敵な笑みを浮かべる……。
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第16話 インド洋の死闘
カーペンタリアを出発したミネルバは、潜水艦・デグチャレフと共にジブラルタルへ向かった。その頃ネオは、そこから程近い半島で密かに地球軍基地建設の任に就いていた部隊から、ウィンダム大部隊を借り受けていた。援軍を得たネオは、スティングと共にミネルバを襲撃する。迎え撃つ、アスランとシン。だが、それはネオの巧みな陽動作戦だった。水中深く潜行していたアビスガンダムが、ミネルバの目前に迫る。 その頃シンは、突如海岸線から現れたガイアガンダムを追って戦線から離れ、基地建設予定地に辿り着いてしまう。そこでは、基地建設のために借り出された現地の民間人たちが、強制労働させられていた。その光景を見たシンは、逆上する。慣れない水中戦に戸惑うレイとルナマリアのザクを尻目に、アウルはデグチャレフを一撃のもとに轟沈させてのけた。怒りに燃えるシンは、基地施設や戦闘車両を次々と破壊する……民間人たちを解放するためとはいえ、それはある意味一方的な虐殺であった。 アスランはシンを平手打ちし、「自分だけで勝手な判断を下すな! 力を持つ者なら、その力自覚しろ!」と怒鳴りつける。シンの瞳には、反抗的な光が宿っていた。
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第17話 戦士の条件
逃亡中のアークエンジェルは、スカンジナビア王国に身を寄せていた。マリューらは今後の身の振り方を話し合うが、情勢を掴み切れていない上にラクスの暗殺未遂や影武者・ミーアの存在もあって、デュランダル議長に懐疑的だった。カガリは、そんなプラントへ向かったまま消息不明の、アスランの身を案じる。 その頃ミネルバは、スエズ攻略の前線・マハムール基地に到着していた。今回の作戦目標は、地球軍の火力発電プラントを守るように位置する、ガルナハンのローエングリンゲートである。唯一の通り道とも言える渓谷には巨大な陽電子砲が配備され、陽電子リフレクターを装備したモビルアーマーが守りを固めている……ジブラルタルへ向かうよう命令された以上、ミネルバはこの難所を突破しなければならない。そしてここを攻略すれば、孤立したスエズは弱体化するのだ。 ミネルバをここへ差し向けたデュランダル議長の思惑を感じながらも、タリアは作戦に全力を注ごうとする。 その頃、シンとアスランは再び衝突していた。インド洋での戦闘後アスランに叱責されたシンだが、未だに納得してはいなかったのだ。自分の判断は間違っていない……。頑ななシンに、アスランはため息をつくしかない。
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第18話 ローエングリンを討て
ミネルバはマハムール基地のラドル指令らと共に、地球軍の戦略上の拠点に打撃を与えるべく、ガルナハンのローエングリンゲートを目指し進攻していた。現地のゲリラ・コニールの支援を得て、渓谷を見渡せる位置に配置された巨大な陽電子砲台を、破壊するためである。 指揮を執るアスランは、作戦の要とも言える重要な役目に、シンを指名。アスランへの反発心から引き受けるシンだが、以前ザフトの攻撃が失敗した際に街が受けた被害をコニールから聞かされ、気持ちを引き締め直す。 ついに、作戦が開始された。シンのコアスプレンダーが、コニールの用意したデータだけを頼りに古い坑道の暗闇を突き進み、フライヤーとパーツがそれに続く。ミネルバが敵モビルアーマーをひきつけている内に、狭い坑道を抜けて砲台へと近付く作戦なのだ。予定地点に着いたシンは、地上へ躍り出ると即座にインパルスへと合体し、避難壕へ逃げようとする砲台へ向かった。行く手を遮るダガーLを仕留めたシンは、避難壕のシャッターが閉まる寸前にその機体を押し込み、その誘爆で砲台と地球軍基地の破壊に成功した。 歓声を上げて感謝する街の人々の姿に、シンは心地良い充足感を覚えるのだった。
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第19話 見えない真実
地球軍のガルナハン基地を陥落させたミネルバは、黒海の沿岸都市・ディオキアのザフト基地へ到着する。そこでは、今まさにラクス・クラインの慰問コンサートが始まろうとしていた。割れるような大歓声の中に現れたラクスを演じるミーアの姿を見て、アスランは驚く。その頃、タリアもコンサート会場の裏で、デュランダル議長と突然の再会を果たしていた。 この時期に地球へ来たデュランダルの意図を、探ろうとするタリア。質問をはぐらかしたデュランダルは、招待したシンたちミネルバのパイロットを迎え、その戦果を労う。会話が進む中、話題は現在の情勢から次第に戦争そのものへと移った。デュランダルは、経済の観点から戦争を望む者がいることを語り始める。ブルーコスモスの母体であるロゴスは戦争を産業と考え、利益のために陰から世界をコントロールしているのだ……。これまで考えもしなかった戦争の側面に、シンらはショックを受ける。ライブを終えて合流したミーアは、アスランと再会できて大喜び。困惑顔のアスランに、デュランダルはアークエンジェルの行方を聞く。本物のラクスを探していると語る議長は、アスランに「連絡が入るようなことがあったら、私にも報せてくれ」と頼むのだった。
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第20話 PAST
シンがプラントへ渡るまでを描く。 先の戦争が始まったのは、彼が14歳のときであった。当時シンとその家族は、中立国のオーブに移り住んでおり、そのため戦時下にも関わらず穏やかな日常を過ごしていたのだ。 が、戦況の変化と共に、オーブにも戦火が近付こうとしていた。旗色の悪くなった地球連合軍は、再三に渡ってオーブに協力を要請していた。しかし、中立を理念とするオーブはこの要求を呑まず、交渉は決裂。地球連合の艦隊は、オーブへの攻撃を開始する。この攻撃で、シンは家族を一瞬で失ってしまった。妹・マユの携帯電話を握り締め、激しく嗚咽するシン。そんな彼に優しく声を掛けたのは、オーブ軍のトダカ一佐であった。 その後戦争は舞台を宇宙に移し、やがて和平条約が結ばれた。身寄りのないシンは、トダカの計らいでプラントへと移住し、やがてザフトへ入隊する。力を手に入れ、大切なものを二度と奪われないために……。
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第21話 さまよう眸
休暇を与えられたミネルバの一行は、ディオキアのホテルに宿泊していた。翌朝目覚めたアスランは、傍らにミーアが寝ているのに気付き、狼狽。その場を目撃してしまったルナマリアは、アスランと距離を置くようになってしまう。その頃デュランダルは、新たなFAITH(フェイス)・ハイネをミネルバへ配属し、すでにディオキアを発っていた。思い思いに休暇を過ごす、ミネルバのクルーたち。そんな中、シンは一人バイクで遠出していた。己の欲望のため、戦争を望む者もいる……昨夜デュランダルが語った言葉が、彼の胸にはしこりとなって残っていたのだ。ぼんやりと海岸線を歩いていたシンは、一人の少女が崖から落ちたのに気付く。慌てて海へ飛び込み、必死に彼女を救けたシンだが……その少女こそ、ステラであった。シンが口にした「死」というキーワードに反応し、激しく怯えるステラ。そんな彼女に、シンは「俺が君を守るから」と、優しく語り掛ける。シンの発した救難信号を受け、アスランが二人を救助に来た。そこに現れたスティングらは、身分を隠しステラを引き取る。シンとの別れを悲しむステラに、シンは「きっとまた会えるから!」と叫ぶのだった。
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第22話 蒼天の剣
シンは、ステラから貰った貝殻を妹・マユの携帯と共に、大切にしていた。険悪だったアスランとの関係も、気さくなハイネが潤滑油となり、徐々に変化し始めていく。一方、ステラはシンとの記憶を除去され、シンが傷に巻いてくれたハンカチのこともすでに忘れていた。ステラたち強化人間は、戦闘に邪魔な記憶を定期的に消されていたのだ。その頃、ユウナを指揮官とするオーブ軍の艦隊が、ネオらと合流すべくスエズへ向かっていた。大西洋連邦からの圧力に屈したオーブ議会は、派兵を承認してしまったのである。敵の増援として現れたオーブ艦隊に、動揺するアスラン。そんな彼に、ハイネは「割り切れよ。今は戦争で、俺たちは軍人なんだからさ」と優しく声を掛ける。多少気持ちが和らいだアスランは、シンがオーブを嫌う心情をようやく理解するのだった。シンは、平和だった頃のオーブを愛していた。それゆえに、変わり果てた現在のオーブを憎んでいるのだ。ダーダネルス海峡で、両軍はついに激突。シンとアスランが出撃し、ミネルバの陽電子砲・タンホイザーは、オーブの護衛艦群に照準を合わせるが……発射寸前に突如現れたフリーダムが、タンホイザーを貫いた。
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第23話 戦火の蔭
突如戦場へ現れた、フリーダム。続いてアークエンジェルから出撃したストライクルージュには、カガリが乗っていた。彼女は自らオーブ代表の名乗りを挙げると、戦闘の即時停止をオーブ軍に命じる。戦場にいた全員が困惑する中、ネオの圧力に半ば我を失ったユウナは、無理矢理戦闘を再開させた。手負いのミネルバを仕留めるには、このチャンスを逃す訳にはいかないのだ。ファントムペインの三機のガンダムがミネルバを強襲し、ハイネ、ルナマリア、レイも迎撃のために発進する。 キラは、カガリをアークエンジェルへ送り届けると、ザフト・地球連合双方のモビルスーツの武装のみを次々と破壊していく。アスランは、戦場を混乱させているキラを止めようと必死に呼び掛けるが、通信は繋がらない。フリーダムの攻撃でステラのガイアは傷付き、ハイネのグフは腕を斬り落とされた。が、逆上していたガイアは、目前にいたグフに襲い掛かった。爆散するハイネ機……。 直後、撤退信号を合図にファントムペインは退き下がり、フリーダムとアークエンジェルも何処かへと去った。ハイネを失ったアスランとシンは、それぞれ歯噛みするようにその機影を見つめるしかない。
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第24話 すれ違う視線
ダーダネルスでの攻防戦において甚大なダメージを受けたミネルバは、マルマラ海の港で修理・補給作業に入っていた。シンが、ハイネの死の原因を作ったフリーダムとアークエンジェルに怒りをあらわにする一方で、アスランはキラたちが戦場へ出てきた真意を直接問い質そうと、決意していた。彼はミネルバから離れることをタリアに告げると、セイバーを駆ってアークエンジェルの行方を追う。 手掛かりを掴もうと、とある町を訪れるアスラン。そこで彼は、アークエンジェルの元クルーで報道カメラマンのミリアリアと、偶然再会した。彼女は、アスランのためにアークエンジェルとコンタクトを取ってくれると言うが……そんな二人の動向を、ルナマリアが密かに監視していた。その頃、別命を受けたシンとレイは、破棄された地球連合側の研究施設の調査へ向かっていた。ところが建物の中を調査中に、レイが原因不明の変調を来たしてしまう。 一方、アスランはついにキラやカガリと再会を果たしていた。が、これまでに見聞きしてたものが全く異なる以上、彼らの想いはすれ違うばかり。キラは、ラクスがコーディネイターの一団に暗殺されかかったことを語り、アスランを動揺させる。
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第25話 罪の在処(ありか)
ラクスを暗殺されかけたキラたちから見れば、デュランダルやザフトは確かに疑わしい。しかし、それでもデュランダルを信じるアスランは、キラとカガリにオーブの戦争参入自体を止めさせるよう言い残すと、ミネルバへ帰還した。事情がどうあれ、ハイネの死の原因がキラにある以上、今のアスランにはキラの言う奇麗事が許せなかったのだ。 一方、シンの緊急連絡を受けたミネルバは、急遽調査中の施設へ向かっていた。失調したレイを収容後、改めて施設内を調査したシンたちは、奇妙な実験機器の数々と、研究員らしき人々や子供たちの死体を発見する。そこは、地球連合が強化人間を極秘開発していたラボだったのだ。子供たちが実験体として扱われていたのを知り、シンは怒りに震える。その頃、ミネルバがラボを調査しているとの報告が、ネオの元へ届いていた。己の古巣の危機を知ったアウルは、恐行状態に。アウルの発した「死」という言葉をきっかけに暴走したステラは、ガイアを駆って単身ラボへと向かう。シンとアスランは、突然単独で現れたガイアを迎撃。ようやく捕えたパイロットがステラだったと知り、シンは驚愕するのだった。
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第26話 約束
ガイアのパイロットは、ステラだった。シンはその事実に困惑しながらも、独断で彼女をミネルバ内の医務室へ運んでしまう。タリアはシンの軍規違反を叱責するが、そこへステラの身体を調べた軍医から報告が入った。検査の結果、彼女は地球連合軍の強化人間だと判明したのだ。外傷を処置しようにも体内物質の数値が異常なため、このままでは満足な治療もままならない。その上記憶をコントロールされ、シンとの思い出も失っていたのだ。その事実に、シンは激しく動揺する。アスランは、キラたちとの会談やシンとステラのことを考え、沈み込む。一方ルナマリアも、アスランとキラたちとの会話を録音したデータを前に、やはり思い悩んでいた。 その頃、ステラを損失扱いするよう指示されたネオは、やむなくスティングとアウルの記憶からステラに関する一切を抹消していた。シンは、ステラに貰った貝殻を手に、再び彼女の病室を訪れる。眠りから目覚めたステラは、ようやくシンとの記憶を取り戻した。一方アークエンジェルでは、ラクスがプラントへ向かう決心を固めていた。彼女はバルトフェルドと共にミーアの帰国用シャトルを奪い、心配するキラを残して宇宙へ旅立つ。
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第27話 届かぬ想い
ラクスは、小惑星群に隠されていたエターナルと無事合流。デュランダルは、彼女をあくまで偽者として追跡するよう指示を出す。 その頃ミネルバでは、アスランとキラたちとの会談を密かに監視していたルナマリアが、その調査データをタリアへ提出していた。が、現在ラクスと思われている人物が実は偽者で、本物は何者かに命を狙われていたという件に関しては、言い出せない。一方ステラは、強化人間ゆえに通常の治療を施せないまま、徐々に弱り始めていた。シンは彼女の様子を見つめながら、ただ歯噛みするしかない。 ネオは、ミネルバの追跡・破壊をジブリールに改めて厳命され、再度オーブ軍と共闘することに。当初の予定通りジブラルタルへ向けて発進したミネルバを、クレタ島付近で迎え撃つべく網を張り始める。その動きを察知したアークエンジェル内では、合流したミリアリアを交えて、再び議論が持ち上がっていた。このまま見過ごせばオーブ軍は沈むだろう。しかし、戦場へ赴けばアスランと戦うことになるのだ。苦悩するカガリだが、キラの言葉に突き動かされ、再び戦場へ向かおうと決心する。すでにミネルバは、オーブ軍と激突していた……。
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第28話 残る命 散る命
ミネルバは、クレタ沖でオーブ・地球連合の同盟軍と再度交戦する。地理的に不利な状況に追い込まれ苦戦するミネルバだが、アスランとシンはアビス、カオスに邪魔され、援護できない。そのとき、再び現れたキラのフリーダムとアークエンジェルが、ミネルバの窮地を救う。カガリはストライクルージュを駆り、またもオーブ軍へ停戦を命じる。 が、度重なるアークエンジェルの介入に怒ったシンは、いきなりルージュを攻撃。危うくカガリを救ったキラは、シンへと襲い掛かる。止めようとするアスランだが、カオスとアビスに割り込まれ、混戦状態に。SEEDの弾けたシンはアビスを仕留め、カオスの戦闘力を奪ったキラはアスランと激突。 一方、ネオに叱責されたユウナは、トダカらにミネルバの追撃を命令。その頃ミネルバでは、タリアがアークエンジェルを敵艦と見なすよう指示を出していた。ミネルバへ迫る、オーブのモビルスーツ部隊。その行く手を遮るカガリだが、すでに死ぬ覚悟を決めた彼らは説得に応じようとしない。彼らが次々と迎撃されていく様を、カガリは歯噛みしながら見守るしかない。 その光景を見たオーブ軍のトダカは、ユウナと部下を退艦させると、旗艦を前線へと向かわせた。セイバーを撃墜したキラは旗艦を救おうとするが、時すでに遅し。鬼神の如き形相で敵を屠り続けていたシンは、目の前に現れた旗艦を躊躇なく両断する。そこに、かつての恩人が乗っていたとも知らずに……。
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第29話 FATES(フェイト)
シャトルを奪って地球を離れたラクスは、小惑星に隠されていた戦艦・エターナルと合流していた。この一件の報告を受けたデュランダルは、あくまで彼女を偽者として捜査するよう指示すると、暗い執務室で一人過去へと思いを馳せていた。その目前に現れる、ラウ・ル・クルーゼと幼いレイの幻。 デュランダルは、幻のラウへ静かに問い掛ける。キラとアスラン、そしてラクスたちの出会いのように、人には定められた運命があるのだとしたら、足掻きながらも生きることに意味はあるのだろうか……?若き日のタリアは、子供が欲しいと望みデュランダルの元を去った。それはお互いに納得した上での、止むを得ない決断であった。が、選び得なかった道にこそ、本当に望んだものがあったのではないのだろうか? 思い悩むデュランダルに、ラウの幻が笑いながら答える。「我らは常に、見えぬ未来へと進むしかないのだ」。 「ならば私が変える、全てを。戻れぬというのなら
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第30話 刹那の夢
アークエンジェルには、先の戦闘で生き残ったオーブの有志たちが合流を果たしていた。トダカの今際の言葉をカガリに伝え、この船で改めてオーブの理念のために戦いたいというアマギらを、キラたちは暖かく迎える。 一方激戦を終えたミネルバは、ジブラルタルを目前にしながら、修理と補給のために足止めされていた。キラに一喝された上にセイバーも大破し、アスランは塞ぎ込む。が、ステラに何もしてやれないことに苛立つシンは、そんな彼に冷たく当たるのだった。 そんな中、シンは偶然タリアと軍医の会話を聞いてしまい、愕然とする。このままではステラは助からないし、仮に助かったとしても本国に引き渡され、実験体扱いにされてしまうというのだ。ステラを救うには、ネオのいる地球軍へ返すしかない……。レイの協力を得て彼女を連れ出したシンは、ガイアの識別コードを利用して地球軍と連絡を取り、ネオを呼び出す。 夜明けの海岸で、対峙するシンとネオ。シンは「ステラを二度と戦場に近づけないと約束しろ」と要求し、ネオにステラを預ける。彼女へ貝殻の入った小瓶を手渡し、「俺を忘れないで」と言い残して、シンは立ち去った。あふれ出る涙を拭いながら……。
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第31話 明けない夜
ステラを逃がしたことで、銃殺刑レベルの軍規違反を犯したシンは、レイと共にミネルバの営倉に拘束された。が、シンは自分の行動を正しいと頑なに信じ、タリアやアスランの言葉にも耳を貸そうとはしない。 アークエンジェルでは、カガリと元オーブ軍兵たちが、決意を新たにしていた。が、キラはラクスとアスランのことを思い、一人苦悩する。沈み込む彼に、マリューは優しく声を掛け励ますのだった。 一方、ネオはミネルバ追撃の任を解かれ、新たな命令を受けてロシアへ向かった。ネオは、シンとの約束を守れないことを不甲斐なく思いながらも、回復したステラに巨大な可変モビルスーツ・デストロイガンダムを与え、新たな戦場へと誘う。その頃ミネルバでは、シンたちの処分が通達されていた。結果は、一切不問……。銃殺刑だけは避けたいと考えていたタリアであったが、この裁定にデュランダルが裏から手を回していたことに気付くと、憤慨。釈放されたシンは増長し、アスランに対してもこれまで以上に不遜な態度を取り始めていた。 デストロイを先鋒に、ユーラシア西側への侵攻を開始する地球軍。その報を受け、ミネルバとアークエンジェルも行動を開始する。
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第32話 ステラ
都市を次々と壊滅させながら、ベルリンへ侵攻を続けるデストロイ。その行く手を、フリーダムとアークエンジェルが遮った。しかし、ただでさえ圧倒的なデストロイの火力にスティングやネオの援護まで加わり、さすがにキラだけでは太刀打ちできない。オーブの猛者・ムラサメ部隊と共に、カガリはキラを援護するため出撃する。 そこへ、現地のザフト支援のため、ミネルバが到着。猛然とデストロイへ斬り掛かるシンだが、そこへ割って入ったネオは、デストロイに乗っているのがステラだと告げる。動揺を隠せないシンは、攻撃を躊躇してしまう。しかし、フリーダムは容赦なくデストロイに攻撃をくわえ、ネオのウィンダムをも撃墜した。地上に激突し、コクピットから投げ出されるネオ……モニターに映し出された彼の姿に、マリューは愕然とする。一方、ネオを墜とされショックを受けたステラは、更に暴走。フリーダムを退けたシンは、必死にステラへ語り掛ける。「君は俺が守るから!」……その言葉にステラは我に返り、ようやくデストロイは停止した。シンの言葉に安らぐステラ。 しかし、裂けたコクピットの間からフリーダムの姿を見た彼女は、再び恐怖に怯え、暴走をはじめる。駆け寄ろうとするインパルスへビームを放とうとしたデストロイは、次の瞬間フリーダムの一撃を受け、ついに沈む。 瀕死のステラに駆け寄り、抱き起こすシン。微笑みながら彼に「好き」と告げると、ステラは眠るように息絶えた。
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第33話 示される世界
シンは、ステラの亡骸を一人静かに湖へ葬った。「君を守る」という約束を守れなかった悔しさで、泣き叫び続けるシン。ようやく顔を上げた彼の目には、暗く固い決意の色が宿っていた。 後日、ミネルバはベルリンの郊外で改修作業を行っていた。ステラの一件を心配してシンの部屋を訪ねたアスランは、フリーダムとの戦闘を想定したシミュレーション中のシンとレイを見て、ショックを受ける。現在最強のモビルスーツ・フリーダムと戦うこともあり得る以上、対策は必要である……。シンとレイの主張は確かに正しく、それゆえにアスランを激しく苛立たせる。一方アークエンジェルでは、回収されたネオが意識を取り戻していた。艦内に残されていた身体データから彼は前大戦で行方不明になった、ムウ・ラ・フラガ本人であると確認されたが、ネオはムウとしての記憶を全て失くしているようだった。それでも以前と変わらぬ彼の様子に、マリューは複雑な思いで号泣する。 そんな中、デュランダルが突然全世界へ向けて演説を始めた。世界中のモニターにデストロイの侵攻と現地の惨状が映され、次に軍需産業複合体・ロゴスのメンバーが、顔写真入りで晒された……。続けてロゴスへ宣戦布告するデュランダルの姿に、世界の人々は彼を支持する雄叫びをあげ、そしてシンは心酔していく・・・。
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第34話 悪夢
デュランダルの独断で行われた突然の演説放送により、世界は激震する。この一件で、デュランダルはプラント議会を完全に掌握する。一方マリューらは、母国を純粋に心配するカガリやキラの意見を採って、オーブへ向けてアークエンジェルを発進させる。 そんな中、ミネルバに新たな命令が下った。友軍と共にアークエンジェルを包囲し、これを討てというのだ。早速フリーダムを倒せると喜ぶシンとは対称的に、アスランは突然の命令に納得できない。タリアに対し不服を述べるが、彼女もすでに司令部にへ異議を申し立て、却下されていたのだ。旗色不鮮明な危険分子・アークエンジェルとその一党を撃沈せよ……それが、プラント本国の正式決定なのである。ザフトの猛攻に晒され続ける、アークエンジェル。タリアは独断でアークエンジェルへ降伏を呼び掛けたが、カガリを擁するマリューらはこれを受けるわけには行かない。一方シンは、キラのフリーダムを圧倒していた。インパルスの特性をフル活用しながら戦いに集中するシンに対して、アークエンジェルを守りつつコクピットを避けて攻撃するしかないキラは、徐々に追い詰められていく。 海中へ逃れようとするアークエンジェルに対して、ついにミネルバのタンホイザーが火を噴く。同時に、シンの必殺の一撃がフリーダムに突きたてられる…大爆発の後、爆煙の中から現れたのはインパルスだった。
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第35話 混沌の先に
シンの猛攻によってフリーダムは大破したが、キラはカガリによってひとまず無事に救い出された。アークエンジェルも、深刻なダメージを負いながらも何とか逃げおおせ、オーブへと向かった。 フリーダムを仕留めて帰艦したシンを、ミネルバのクルーたちは絶賛。が、シンの放った「仇は取りましたよ。あなたのもね」という言葉にアスランは逆上し、つかみ合いとなってしまう。二人を引き離したレイは、キラやアークエンジェルに対するアスランの思いを個人的な感傷と断じ、軍人である以上本国の命令は絶対だと主張する。その言葉の正しさに、アスランは引き下がるしかない。一方、戦争を否定するデュランダルの言葉に感銘を受けた人々が各地でゲリラ行為を開始し、追い詰められたジブリールらは地球連合軍の本拠地「ヘブンズベース」へと逃げ延びていた。それを討つべく、ザフトはジブラルタルへ集結を開始。その中には、ミネルバも含まれていた。 ジブラルタルへ降り立ったデュランダルは、アスランとシンを呼び出すと、最新鋭のモビルスーツ・デスティニーとレジェンドを与える。目を輝かせて喜ぶシン……対してアスランは、デュランダルへ疑いの眼差しを向ける。
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第36話 アスラン脱走
デスティニーを与えられ喜ぶシンとは対照的に、アスランは「なぜアークエンジェルを討つよう命じたのか」と、デュランダルへ食って掛かる。キラたちが戦局を混乱させたのは確かだが、「戦争をなくしたいと考えていた」という意味では、同志には違いないのだ。デュランダルへ疑いの眼差しを向けるアスランに、ミーアは不安を覚える。 ヘブンズベース攻撃を目前に控えたジブラルタル基地内は、デュランダルの考えに賛同してザフト側に付いた地球軍も迎え入れ、これまで以上に騒然としていた。そんな中アスランを訪ねたミーアは、今すぐデュランダルに従うよう説得を始めた。彼女は、デュランダルとレイの会話を立ち聞きし、アスランに危機が迫っていることを知ったのだ。与えた役割に従わない者は、容赦なく切り捨てる……それがデュランダルの本性だったのである。追っ手の掛かったアスランはミーアを連れて逃げようとしたが、彼女はその手を振り払い、ラクスとして生きることを選んだ。アスランは、メイリンの機転のおかげで基地保安要員を振り切り、グフのハンガーへ辿りつく。しかし、そこに現れたレイは、メイリンもろともアスランを仕留めようとした。成り行きでメイリンと共にグフへ乗り込んだアスランは、アークエンジェルと合流すべく、ジブラルタルを脱出。レイはすぐさまレジェンドを駆り、アスランの裏切りに驚くシンと共に、その後を追う。
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第37話 雷鳴の闇
ジブラルタルを脱出したアスランを追跡するシンとレイ。メイリンがアスランと行動を共にしていると知り、デュランダルは機密保持のためレイへ撃墜許可を与えた。その場にいたタリアは抗議するが、デュランダルは耳を貸そうとしない。 一方シンは、突然のアスラン撃墜命令に戸惑っていた。レイは、そんなシンに檄を飛ばし、アスランとメイリンの乗るグフを追い詰めていく。戦いながらも、必死にシンを説得しようとするアスラン。しかしその言葉はレイに歪められ、シンには届かない。シンは、心の中に生じた迷いを振り払うかのように、今や「敵」となったアスランとメイリンが乗るグフを撃墜する。真実は闇に葬られ、ミネルバの面々はアスランとメイリンの裏切りと死を同時に知らされた。が、タリアやルナマリアがそれに納得するはずもなく、ミネルバ内は激しく動揺する。号泣するルナマリアを優しく抱きしめながら、シンもまたこの結末に涙するのだった。 その頃デュランダルは、ジブリールらロゴスメンバーの引渡しと全軍の武装解除を求める最後通告を、ヘブンズゲートへ送っていた。この通信を傍受したアークエンジェルとエターナルには、緊迫した空気が流れる。
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第38話 新しき旗
心に深い傷を負ったルナマリアは、その怒りをロゴスとの戦いに転化すべく、インパルスの調整に没頭していた。アスランとメイリンの件で負い目を感じるシンは、ルナマリアとひととき心を通わせ合う。 デュランダルから最後通告を突きつけられていた地球連合軍は、回答もなしに突如戦闘を開始した。先陣を務めるのは、新たに用意されたデストロイ5機……その中には、スティングの姿もあった。その頃アークエンジェルでは、アスランが意識を取り戻していた。彼とメイリンは、キサカによって無事救出されていたのだ。死んだと思っていたキラとの再会に喜ぶアスランだが、体力が回復していないため、今は満足に話すことすらできない。カガリに見守られながら、彼は再び深い眠りについた。当初は圧倒的優位と思われていた地球連合軍だが、今や戦況は完全に逆転。シンのデスティニーとレイのレジェンド、そしてルナマリアのインパルスが、立ちはだかるデストロイを次々と撃破していたのだ。デスティニーが、残ったスティングのデストロイを爆散させ、ようやくヘブンズゲートに白旗が揚がる。が、すでにジブリールは何処かヘ姿を消した後であった。一方、地球連合の敗北を目の当たりにしたキラは、己の無力さを噛み締める。
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第39話 天空のキラ
ヘブンズゲートは、ザフトによって完全に制圧された。が、ジブリールの行方は未だに不明のまま。デュランダルは、その足取りを追うよう軍に命じる。 その頃オーブのオノゴロ島では、傷ついたアークエンジェルがドックに入っていた。クルーたちが修理に追われる中、フリーダムという力を失い、一人焦るキラ。マリューは、 そんなキラに優しく声を掛け、励ます。ようやく意識を取り戻したアスランも、久しぶりにカガリと言葉を交わしていた。一方、ラクスの指示を受けたダコスタは、かつて遺伝子研究所のあったコロニー・メンデルの中を調査していた。全てのデータが廃棄された中、唯一残されていたノート……そ の中に「デスティニープラン」なる記述を目にしたラクスは、思わず息をのむ。と、そのときエターナルの艦内警報が! ザフトに発見されてしまったラクスたちは、証拠のノートとあるモノをキラたちへ届けるため、決死の強行突破を試みる。エターナルのピンチを知ったキラは、ストライクに急遽ブースターを取り付けると、単身宇宙へ。間一髪救われたラクスは、キラへ新たな力・ストライクフリーダムを手渡すのだった。
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第40話 黄金の意志
デュランダルは、シンとレイにフェイスの徽章と勲章を授与。レイによって巧みに誘導されながら、シンは次第にデュランダルの指し示す未来を盲信し始める。そんな中、ジブリールの行方がついに判明。彼は、オーブのセイラン家へ身を寄せていたのだ。ザフトは オーブへジブリールの身柄引き渡しを要求するが、ユウナは「いない」と返答。当然納得できるはずもなく、ザフトは武力によるオーブ制圧を開始する。オーブの危機を知ったカガリだが、アークエンジェルは修理が完了しておらずキラも留守、アスランも未だ回復していない。それでも祖国を救おうと、ムラサメ隊と共に決死の 覚悟で出撃しようとするカガリ。そこに現れたキサカとエリカは、カガリの亡き父・ウズミが遺したモビルスーツ・アカツキを、彼女へ与えるのだった。 「力はただ力。多くを望むのも愚かなれど、厭うのも又愚か」……父の遺言を胸に刻んだカガリは、ムラサメ隊と共にオーブ軍の中枢を掌握すると、ユウナを拘束させて全軍を指 揮し、一時はザフト軍を押し戻す。が、そこにシンのデスティニーとミネルバが到着し、形勢は再び逆転。カガリのアカツキとシンのデスティニーが、相反する祖国への思いを胸 に、オーブの空の下で激突する。
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第41話 リフレイン
アスランとキラそれぞれの視点から、これまでの二人の軌跡を振り返る。前大戦で戦争のむなしさを思い知ったアスランは、デュランダル議長の言葉に揺り動かされ、オーブを離れてザフトへと復帰する。彼には、フェイスとして新鋭艦・ミネルバと共に戦うことこそが、一日でも早く戦争を終わらせるための唯一の手段だと思えたのだ。ところが、同じように平和を望んでいるはずの友・キラは、戦場に介入しては状況を混乱させ続けていた。デュランダルに対して懐疑的なキラたちと一度は決別したアスランだが、その後はミネルバ内でも孤立してしまい、ついにはデュランダルの計略によってザフトから追われる身となってしまう。デュランダルの言葉の裏に隠された冷酷な真意に気付き、彼の目指す理想と袂を別ったアスランは、メイリンの助力を得て軍を脱走、追っ手からの追撃をうけ傷付きながらもキラたちの元へ辿り着く。そんな彼を、キラは以前と変わらない笑顔で暖かく迎え入れた。二人の進むべき道は、そのときようやく一つに重なったのである。
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第42話 自由と正義と
オーブの危機に、緊急発進するアークエンジェル。マリューは、ネオの拘束を解くとスカイグラスパーを与え、解放。未だ傷の癒えぬままブリッジに陣取ったアスランは、ザフトとの戦闘を前に下船するようメイリンに勧めたが、彼女はアスランと共にいることを選んだ。その頃オノゴロ沖では、デスティニーを食い止めようとカガリとムラサメ隊が奮戦。が、怒りに燃えるシンの攻撃が、アカツキのコクピットに迫る……! そのとき、宇宙から帰還したキラのストライクフリーダムが、間一髪でカガリを救った。 キラはその場を引き受けるとデスティニーと激突、ミネルバと交戦を開始したアークエンジェルには、ネオのスカイグラスパーが加勢に付く。不利と見たレイは、シンに一時撤退を指示。その隙にカガリは国防本部へ到着し、オーブ軍はようやく体勢を立て直すことに成功した。が、ジブリールの行方は未だ掴めない。補給を終えたデスティニーとレジェンドが再び出撃し、いよいよ戦況は混沌としていく……。一方アスランは、ラクスが用意したインフィニットジャスティスを前に、激しく葛藤していた。そんな彼に、ラクスはキラの言葉を伝える。「何かしたいと思ったとき、何もできなかったら……それが一番辛くない?」 アスランは友の思いを受け止め、自らの意志で戦うことを選ぶのだった。
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第43話 反撃の声
デスティニーとレジェンドの息の合った連携に、苦戦を強いられるキラ。そこへインフィニットジャスティスを駆ってアスランが乱入、「お前がオーブを攻めてはいけない」とシンを説得する。混乱してジャスティスに襲い掛かるシンだが、手負いながらも気迫に勝るアスランは、彼のデスティニーを圧倒する。そのとき、ジブリールの乗ったシャトルがオーブを脱出し、まんまと月へ逃げおおせてしまった。沈んだ旗艦に代わってザフト全軍の指揮を執ったタリアは、これ以上の戦闘を不毛と見て撤退を下命。この戦いは、ザフトとオーブ双方に実りのないまま終結することとなった……。翌朝。正式にオーブの代表に復帰したカガリは、全世界のメディアを通じてデュランダルへのメッセージを送り始める。ところがその主張を遮るかのように、ミーアが声明を発表。その中継を見ながら密かにほくそ笑むデュランダルであったが、再び画面が切り替わった瞬間、その顔色は一変した。「彼女の言葉に踊らされてはなりません……」突如カガリの隣に現れたラクスの言葉に、全世界は激震する。
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第44話 二人のラクス
ラクスは、全世界のメディアを通じて「デュランダルの言動を支持しない」と明言。対するミーアは、本物のラクスが出現したことに激しく動揺する。デュランダルはそんな彼女に優しい言葉を掛けると、ひとまず身を隠すよう指示して送り出した。 衝撃的な放送は、ミネルバ内にも波紋を広げていた。混乱するシンらに対して、レイは「本物が正しいとは限らない」と告げると、フリーダムやアスランのことに話題を移す。それを聞いたルナマリアは、メイリンも無事生存している可能性があると知り、動揺を隠せない。そんな中、艦隊司令部からの通達で、ミネルバは急遽月へと向かうこととなった。その頃月のダイダロス基地では、ジブリールが逆転の切り札を起動していた。コロニーを利用した巨大な反射衛星砲・レクイエムを使って、月の裏側から直接プラントの首都・アプリリウスを狙うつもりなのだ。地球連合軍の動きにいち早く気付いたイザークたちが善戦し、首都はかろうじて難を逃れたが、その一撃は周辺のプラント群を一瞬で消滅させる。この事態に、デュランダルはザフト全軍へ月の緊急制圧を命じた。一方この一件を知ったアークエンジェルも、宇宙へ上がるべく動き始める。
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第45話 変革の序曲
レクイエムの第一中継地点・フォーレに、決死の攻撃を仕掛けるザフト主力軍。そんな中、ダイダロスに最も近い位置にいたミネルバは、単身でダイダロス基地の砲本体を攻略するよう命じられる。第2射の再チャージが完了するまでにどれだけの時間が残されているのかわからない以上、もはや一刻の猶予もないのだ。 月に到着したミネルバから緊急発進する、デスティニーとレジェンド。ミネルバのタンホイザーが基地を焼き、シンとレイは迎撃に現れたデストロイ機を次々と屠る。その隙に、ルナマリアは砲のコントロール施設を制圧すべく出撃する。一方、戦況を不利と悟ったジブリールは、チャージ半ばのままレクイエムを発射させようとする。第2射を放ち、その隙に月から脱出するつもりなのだ。が、ルナマリアによって発射は間一髪で阻止され、ダイダロスの司令部もシンのデスティニーによって壊滅。ジブリールの乗った戦艦はレイの手によって爆散し、ついに、ロゴスは滅びた。 リアルタイムで戦況を見守っていたプラントの人々が口々に歓喜の声を上げる中、今や世界最強のリーダーとなったデュランダルが、静かに微笑む。その頃、正式にオーブ宇宙軍艦艇となったアークエンジェルが、宇宙へ向けて発進していた。自由と自立に基づいた、真の平和を勝ち取るために……。
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第46話 真実の歌
レクイエムの中継コロニーは、全てザフトによって制圧された。が、デュランダルはその処分をひとまず保留し、まずは連戦続きだったミネルバと月艦隊に休息を与える。 一方、月の自由都市・コペルニクスに身を隠していたミーアは、港にアークエンジェルが停泊していると知り、不安に陥っていた。ラクスの存在を認めることは、今の彼女にとって自己の存在を否定することと同義なのだ。新たな付き人・サラは、そんな彼女をそそのかしてラクスの暗殺に利用しようと画策する。町へ密かに買い出しへ出ていたキラ、アスラン、ラクス、メイリンの4人は、ミーアからのSOSメッセージを受け取った。罠だと知りつつも一同は指定された場所へと向かい、2人の歌姫は初めて対峙する。 アスランが生きていたことに喜びながらも、救いの手を差し伸べようとするラクスに怯えるミーア。「あたしがラクスで何が悪いの!?」と叫ぶ彼女に、ラクスは「私たちは誰も、自分以外の者にはなれないのです」と優しく諭す。そのとき、サラがラクスへ向けて発砲。いち早く周囲の異変を察知していたアスランは、間一髪でラクスを救うと、暗殺者たちを次々と打ち倒す。そこへ、緊急連絡を受けたネオがアカツキを駆って到着。が、その手の上へ乗り移ろうとするラクスに、瀕死のサラが再び銃口を向け……銃声が響き、倒れるミーア。ラクスを庇って撃たれた彼女は、詫びながら静かに息を引き取った。
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第47話 ミーア
目前でミーアを死なせてしまったことを悔やみながら、アスランたちは彼女の遺体をひとまずアークエンジェルへと運んだ。彼女の持っていたポーチを手にしたラクスは、その中に彼女の日記が記されたディスクを見付ける。そこには、元々歌手志望でラクスの大ファンだった彼女が整形手術を受けてからの充実した日々が、飾らない言葉で綴られていた。ラクスの代役を務める緊張感、アスランと初対面した際の興奮と憧れ、ライブが生み出す一体感と充実感……。そして、自分の存在が大衆に支持され、確実に世界を平和へ導いているという、無上の喜び。「議長は大丈夫って言った。私が、私が……世界を救ったって。そうだよね? 私がやった。だから私は……、私が……」最後に記された言葉を読みながら、ラクスは彼女の今際の言葉を思い出す。「あたしの歌……命……どうか、忘れ……」たとえ彼女が偽者だったとしても、ラクスと同様「平和のために歌っていた」ことだけは、紛れもない事実である。キラの胸にもたれて泣きながら、ラクスは彼女のことを決して忘れないと誓うのだった。 一方、全世界へ向けてプラント被害者の追悼声明を発表していたデュランダルは、「人類存亡を賭けた最後の防衛策」と銘打ちながら、ついにデスティニー・プランの導入を宣言。その言葉は、シンを困惑させる。
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第48話 新世界へ
全ての人々のDNA情報を完全に解析し、その適性に合った職業に従事させることで、誰もが幸福に生きられる世界を作る。つまり、個人の自由意志が一切認められない徹底的な管理社会……それこそが、デスティニープランの正体だった。 断固たる態度でこの計画の実行を宣言したデュランダルだが、即座に拒否の姿勢を示したオーブとスカンジナビア王国を除いて、世界はその意外な提案にただ戸惑うばかり。ミネルバの面々もそれぞれ困惑する中、レイはシンに向かって強く語り始めた。「誰もが幸福に生きられる世界、二度と戦争など起きない世界を守るのは、お前しかいない……」。突如失調し、薬を口にしたレイの様子に不安を感じつつも、シンは議長と世界の ために戦う決意を新たにする。 そんな中、反旗を翻そうとしていた地球軍・アルザッヘル基地の動きに気付いたデュランダルは、密かに改修しておいたレクイエムでこれを一蹴してしまう。その容赦ない所業 に戦慄したアークエンジェルの面々は、デュランダルの暴走を止めるべく、エターナルとの合流を開始。その頃デュランダルは、シンとレイを自らの元メサイアに呼び寄せていた。
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第49話 レイ
アークエンジェルはエターナルと合流し、レクイエムの要とも言える一次中継コロニー・ステーションワンを破壊すべく出撃。ザフト月艦隊の約大多数がそれを迎え撃つべく動き出すが、ラクスはレクイエムを「人の世に不要な大量殺戮兵器」と断言し、堂々とその破壊を宣言。彼女の言葉の正しさと毅然とした態度に、ザフト兵の足並みは乱れる。その頃シンとレイは、デスティニーとレジェンドを駆って機動要塞・メサイヤへ向かっていた。二人と対面したデュランダルは、ラクスたちの行動を「平和への道を閉ざす行為」と責める。その言葉に同調するレイに違和感を覚えながらも、シンは迷いを振り払い、ラクスらと戦う決意を固めていた。憎しみの連鎖を断ち切るために。戦場に駆けつけたミネルバは、長きに渡る因縁に決着を付けるべくアークエンジェルと激突。一方キラとアスランは、イザークとディアッカの助力を得て、ついにステーションワンの破壊に成功する。 そのままダイダロス基地を攻撃中のオーブ主力隊と合流しようとする、キラたち。が、その目前に突如姿を現したメサイヤは、ネオジェネシスの一撃で主力隊を殲滅してしまう。前方からデスティニーとレジェンド、後方からはミネルバが迫り来る最悪の状況に、キラたちは活路を開くべく戦う。
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第50話 最後の力
メサイヤを攻撃し続ける、アークエンジェルとエターナル。が、シールドが施されたメサイヤにはビーム兵器が一切通じない。しかも、その間にもレクイエムでは着々と発射準備が続けられているのだ。このままではオーブが撃たれると考えたキラとラクスはその場を引き受け、一方アスランとアークエンジェルはレクイエムへと急ぐ。 混戦を続けるザフトとオーブ残存艦隊の中に斬り込んでいくアスランたち。が、その行く手をミネルバとインパルスが遮った。攻撃して来るルナマリアに、やむなく応戦するアスラン。そこへ駆けつけたシンは、激昂してアスランに襲い掛かる――が、アスランの説得に動揺し錯乱し、間に入って戦いを止めようとしたインパルスを撃とうとする。 間一髪でルナマリアを救ったアスランは、過去に囚われ続けるシンへの怒りを爆発させ、デスティニーを一気に圧倒。次いでアークエンジェルの加勢に回ると、ミネルバをも撃退した。半壊したデスティニーは月面へ墜ち、航行不能となったミネルバも月への不時着を余儀なくされる。意識を取り戻したシンは子供のように泣き始め、そんな彼をルナマリアは優しく抱きしめるのだった。同じ頃、ラウ・ル・クルーゼを名乗りながらキラに肉薄したレイも、隙を突かれて敗北していた。デスティニーとレジェンドを失ったデュランダルは、レクイエム上空をネオジェネシスで味方ごと一掃し、間髪入れずレクイエムを起動させる……が、ネオとアスランの活躍によってレクイエムは火柱を上げ、最悪の事態は未然に防がれた。 ミーティアを装備したストライクフリーダムが、ついにメサイヤのシールドシステムを破壊。続く一斉攻撃によって、ようやくメサイヤは沈黙する。駆けつけたタリアが見守る中、半壊した司令室で、銃を手に対峙するデュランダルとキラ。そして、密かにキラを狙撃しようとするレイ……。が、キラの言葉に胸打たれたレイは、反射的にデュランダルを撃ってしまう。 瀕死のデュランダルに駆け寄ったタリアは、キラに脱出するよう告げると、レイを傍らに呼び寄せた。親子のように身を寄せ合う3人と共に、燃え尽き消滅するメサイヤ――。その光を見つめながら、生き延びた者たちは混迷の未来へと思いを馳せる。