- 地域:日本
- タイプ:TV
- 正式名称:ぬらりひょんの孫
- 英語名:Nurarihyon no Mago / Nura: Rise of the Yokai Clan
- 中国語の名前:滑头鬼之孙
- 他の名前:百鬼小当家 / 妖怪少爷
- 放送開始:2010-07-05
- 放送状況:放送終了
- タグ:幻想 / 熱血 / 戦闘 / 漫画改
- 原作:椎橋寛
- 監督:西村純二
- シナリオ:高橋ナツコ / 西村ジュンジ(西村純二) / ふでやすかずゆき / 森田眞由美 / ハラダサヤカ
- 絵コンテ:鎌倉由実 / 柳沢テツヤ / 藤原良二 / 田頭しのぶ / 福田道生
- 演出:大関雅幸 / 宇井良和 / 神保昌登 / 西村博昭 / 亀井幹太
- 制作会社:Studio DEEN(スタジオディーン)
- 制作協力:動画工房
- 製作:磯山敦
- Copyright:©椎桥寛 / 集英社・奴良组
- 家族:ぬらりひょんの孫
- Rating:12+
『ぬらりひょんの孫』
浮世絵町に住む少年・奴良リクオは見た目はおとなしいごく普通の中学生。
しかし彼が暮らす古風な日本家屋では妖怪たちが身の回りの世話をしていた。
というのも、リクオはよろずの妖怪の頂点に立ち、魑魅魍魎たちを従えるぬらりひょんの孫。
現在空席となっている妖怪一家“奴良組”の三代目頭領と目される男だったのだ。
しかしながら当のリクオはそんなことには無関心。
人間として暮らしていくことに強い執着をもっていた。
リクオはぬらりひょんの血を引くも、母、祖母ともに人間の、妖怪と人間とのクオーターだったために、妖怪の力を発揮するのも夜に限られていたのだ。
しかも妖怪になっている時の記憶は人間の時のリクオにはない。
いつかは三代目を継いでくれると信じてやまない奴良組配下の妖怪たち。
そしてリクオをふがいなく思い、奴良組に変わって妖怪の頂点に立とうと野心を抱く妖怪たち。
浮世絵町に暮らす人間たちをも巻き込んで、さまざまなドラマが繰り広げられる。
いにしえより人々に“畏れ”られてきた妖怪。
果たしてリクオはその畏れをまとい、妖怪の頂点に立つことができるのだろうか――。
忠義、仁義、友情に絆、そしてバトルも描く妖怪任侠絵巻。
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第1話 魑魅魍魎の主となれ
浮世絵町一帯を縄張りとする妖怪一家奴良組は組頭の後継問題を抱えていた。三代目頭領に孫のリクオを据えたいぬらりひょん。だが、当のリクオはそれを拒み続けていたために未だ後継者が確定しないでいた。リクオは青田坊をはじめ、配下の者たち全員を屋敷の広間に集めていた。何か妖怪らしい仕事を任せてもらえるのでは? と胸躍らせる配下の者たち対してリクオが命じたことは、まったく逆のことだった。この頃リクオが通う学校では、クラスメイトの清継が旧校舎には妖怪が現れると言い出したために、今夜肝試しが行われることになっていた。クラスメイトの目に妖怪たちを触れさせたくないリクオは、配下の者たちを屋敷に留めることで妖怪はいないことをクラスメイトに示したかったのだ。しかし、いざ肝試しが始まってみると旧校舎は妖怪だらけ。奴良組の者ではない妖怪たちがひしめいていた。必死に妖怪を隠そうとするリクオ。なんとか凌いできたものの、最後のチェックポイントである調理室に入った時に、リクオたちにせまる妖怪の影が……。
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第2話 毒羽根は竹林に舞う
渦巻く羽根が瞬時にして雑鬼を葬り去る。放たれた先には一人の男が……。 その男は、毒の羽根を操る薬師の妖怪、鴆{ぜん}。薬、毒薬を司る妖怪として奴良組配下の鴆一派を束ねる頭領である。鴆は奴良組三代目を継ぐリクオの晴れ姿を一日も早く目にしたいと手下の妖怪・蛇太夫を従え奴良組へとやってきた。しかし当のリクオは三代目を継ぐ意志はなく、ぬらりひょんからはそれが悩みと告げられる。鴆は直接リクオにその意思を確かめようとするも、いい返事は聞けなかった。失望する鴆に蛇太夫は「跡継ぎがあのように腑抜けならば組の将来はない」と、組から離れることを提言する。元は薬として備わっていた美しいまでの鴆の羽根。しかしその羽根も元服を境に毒へと変わる。もとより体の弱い鴆は自らの毒によって冒され、今ではその体も自らの毒に蝕まれている。その自分を慈しみ、一派を任せるほどに重用してきた恩のある奴良組を裏切るわけにはいかなかった。「そう長くは生きられない」と苦悩する鴆に蛇太夫が反旗を翻した。組を見限った蛇太夫は鴆を葬り去り、一派を乗っ取った上で奴良組から離反しようと企てたのだ。弱っている鴆を追い詰めていく蛇太夫。まさにとどめをささんとするその時、一人の男がその前に立ちはだかる。
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第3話 花開院ゆらと清十字団
リクオのクラスに転校してきた花開院(けいかいん)ゆらは、なぜか妖怪に詳しい少女だった。妖気を感じるという彼女の正体とはいったい……? 清継は自分が出した妖怪の質問にすらすらと答え、さらに注釈をもつけてしまうゆらに高い関心を示すと、突然思いついたかのように「妖怪探索を目的とする清十字(きよじゅうじ)怪奇探偵団を設立する」と言い出した。強引にメンバーにされてしまうリクオにカナ。さらに調子に乗った清継は、探偵団の結成式をリクオの屋敷で行うことを決め、さっそく実行に移すことに。リクオの屋敷では今日も変わらず奴良組の妖怪たちがうごめき、あまつさえ宴会までをも始めていた。突然のクラスメイトの来訪からなんとかその状況を隠そうとするリクオであったが、ゆらはリクオの屋敷にただならぬ妖気を感じ、屋敷内をくまなく探索し始めてしまう。ようやくのことで仏間にゆらたちをひと息つかせるリクオであったが、なんとその場に祖父・ぬらりひょんがひょっこり顔を出して……。
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第4話 闇の鼠は猫を喰らう
夜の帝王と異名をとるホストは仮の姿。その実態はネズミの妖怪である旧鼠は、かつては奴良組傘下の妖怪一家・旧鼠組の頭領であったが、ぬらりひょんによって破門をされていた。その後奴良組系化猫組からシマを奪い、一番街で好き放題の限りをつくしていた旧鼠はカナ、ゆらをさらうと、今度はリクオに対して2人を返してほしければ、奴良組三代目襲名を放棄するよう求めてきた。もとより三代目を継ぐ意志のないリクオは旧鼠の出した条件を飲もうと回状をまわそうとするが、そんなリクオに旧鼠によって手下を殺され、シマを奪われた化猫組頭領の良太猫が、組が受けた落とし前は自分自身でつけると申し出る。「負けると分かっていてもやらなきゃならねぇ時がある」と、悲壮な覚悟を決めた良太猫の出入に、リクオもまた“百鬼夜行”を従えて加わることに。旧鼠と対峙する良太猫。無謀な出入りだと良太猫をあざ笑う旧鼠に、リクオはその宿りし力を示すことになる。
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第5話 鬼棲む山に紅き梅は咲く
旧鼠を葬り去り、少しずつではあるが真の妖怪の力に目覚めようとしているリクオ。しかしその反動は昼間のリクオの体に少なからずダメージも与えていた。急な発熱で寝込んでしまったリクオのもとへ、清継、カナ、ゆらたちクラスメイトが見舞いにやってきた。友人たちの急な来訪に驚くリクオ。看病していた氷麗(つらら)は、カナと出くわし大あわて。一方カナは、氷麗が一人で先にリクオを見舞っていたことに動揺を隠せないでいた。――「2人の関係はいったい……」。元気そうなリクオを見た清継が、清十字怪奇探偵団の新たな活動内容を告げる。その内容は探偵団第一回妖怪合宿と称して梅楽園へ行き、妖怪博士に会いに行くというものだった。そのころ奴良組ではぬらりひょんが、奴良組幹部の中に裏切り者がいると推測し、カラス天狗にその調査を命じていた。 こうした中でやってきた合宿当日。リクオたちが訪れた梅楽園は別の名前を捩眼山(ねじれめやま)といい、道に迷った旅人を襲う妖怪、奴良組幹部の牛鬼が棲まう場所であった――。
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第6話 魔の山に仕組まれし罠
迷い込んだ旅人を襲う妖怪・牛鬼が棲まう地、捩眼山(ねじれめやま)。この地に足を踏み入れたリクオたちは、妖気漂う魔の山に、不気味さを感じないではいられなかった。ただならぬ不気味さに怯えるクラスメートの巻と鳥居。2人の姿を見たリクオは、「やっぱり帰ろう」と清継に促すのだが、清継の方はおかまいなし。「これぞまさしく妖怪ツアー」と、妖怪博士の化原に案内されるままに旅館に入館してしまうのだった。その頃、捩眼山では牛鬼の手下の妖怪、牛頭丸(ごずまる)、馬頭丸(めずまる)によりリクオを罠にはめるべく策が弄されていた。リクオを守るべく追ってきた青田坊を道に迷わせ、宿にはいったリクオたちを二手に分断。陰陽師ゆらのグループを馬頭丸が襲い、リクオのそばに仕える氷麗(つらら)のグループを牛頭丸が襲う。そして最後は孤立したリクオの首を取るというものだった。奴良組に対して配下の牛鬼組が反旗を翻す、牛鬼組の叛乱であるのは疑いないものであったが、その意思は組の主である牛鬼の固い決心のもとにあった。 そして夜、叛乱決行の瞬間、“逢魔が時”が訪れる――。
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第7話 新月の夜に闇が動いた
牛頭丸(ごずまる)の策により分断されたリクオたち一行。氷麗(つらら)は1人になったところを牛頭丸に襲われ深手を負ってしまっていた。そこに助けに入るリクオ。しかしそれは牛頭丸の思うつぼでもあった。人間のリクオにはこの攻撃を止めることはできないと、強靭な刃がリクオに襲いかかる――。 そのころゆらは、クラスメイトとともに馬頭丸(めずまる)の襲撃を受けていた。入浴中の弱みに付け込まれたかっこうではあったが、式神を用い馬頭丸に反撃をこころみる。「なぜ陰陽師がここに――?!」。驚く馬頭丸を前に、さらに新手の妖怪も姿を見せる。 牛頭丸の激しい攻撃を受けていたリクオであったが、牛頭丸はとどめを刺すことができないでいた。焦る牛頭丸が繰り出す必殺の“牛頭 陰魔爪(いんまそう)”でさえも、リクオの刀に止められてしまう。――「人間風情がどうして?」 その後、傷を負った氷麗をカナに託したリクオは、ついに牛鬼の待つ牛鬼組の屋敷へと足を踏み入れる。
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第8話 梅若丸、無残!
ついに牛鬼と対峙したリクオ。刃をまみえる中でリクオは牛鬼から悲壮なまでの覚悟を告げられる――。 時は平安時代に遡る。京の都、羅生門近くの市街地に暮らす吉田少将惟房と妻、花子の間にはようやくにしてもうけた一児がいた。名前を梅若丸という。その後、梅若丸はすくすくと成長するのだが、惟房は政治的に失脚。母、花子は暮らしのため新たな夫を迎えることになり、梅若丸は幼くして比叡山へと入山することになった。やがて剣術、学問に秀で、俊英な若者へと成長する梅若丸であったが、そんな彼のもとに悲報が舞い込む。母が病にふせり危篤だというのだ。急ぎ養生している屋敷のある捩眼山(ねじれめやま)へ向かった梅若丸の目の前には、悲しすぎるまでの母の無残な姿が……。土着の牛鬼によって母は尊き命を落としてしまうのだった。その後、怒りに我を忘れた梅若丸は、世を呪い、人間、妖怪を問わず殺戮の限りを尽くし、やがては自らが牛鬼と呼ばれるまでになっていく。そんなある日、一人の若者が牛鬼の噂を聞きつけ、その討伐に姿を現わす。
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第9話 牛鬼の愛した奴良組
若き日のぬらりひょんによって討伐された梅若丸は、それでもなお手を差し伸べるぬらりひょんと義兄弟の杯を交わした――。リクオと刃を交えた牛鬼は、リクオの力を見極めた上でさらに話を続ける。「捩眼山より西の地には奴良組のシマはひとつもない」。そう、奴良組は今、西からの脅威にさらされようとしていた。さらに牛鬼はリクオに「妖怪としての器を見極めた上は、謀反を企てた責任を負う義務がある」ことを告げる。死を覚悟した牛鬼にリクオの取った行動とは意外なものだった。リクオが奴良組の屋敷に戻ると、組は牛鬼の謀反の話題でもちきりだった。真相を聞いたぬらりひょんは、牛鬼に切腹を命じようとしていた。動揺するリクオに対し、ぬらりひょんは「牛鬼の落とし前を三代目としてつけてみろ」と命じる。そして妖怪の幹部たちが居並ぶ奴良組総会で、リクオは重大な決意を明らかにする。
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第10話 魔鏡来りて果実を喰らう
あれは幼い時に交わした約束――。 7年後、13歳になったらまた遊ぼう。家長カナは悪い夢にうなされるようになっていた。見る夢はいつも同じ夢で、13歳になる誕生日に再会を約束するものだった。そしてカナの13回目の誕生日がやってくる。この日もよく眠れなかったカナは学校で清継から、カナを妖怪化した呪いの人形をプレゼントされる。薄気味悪がるクラスメイトをよそに、受け取るカナ。ただ寝不足気味な彼女は怪奇探偵団の発表会に出ることなく、そのまま学校を後にする。駅へ向かっているはずなのに一向に歩が進まないカナ。ただの寝不足とは思えない身に起こった異変に気づくカナの前に現れたのは、幼い時に見た夢の中でつい手に取ってしまった紫の鏡、“雲外鏡(うんがいきょう)”であった。7年前に13歳になったらまた遊ぼうと一方的に約束してきた雲外鏡。しかしそれは単に再会を約したものではなく、カナの命を奪うことを意味していた。果たしてカナの運命は?その時リクオは――?
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第11話 先陣の風、西の方より
化猫横町でカナと一夜を明かしたリクオ。ひとときの安穏に酔い痴れる奴良組に新たなる敵の魔の手が迫ろうとしていた――。奴良組のシマである化猫横町にある異変が起こっていた。さっそく調査に乗り出すことを申し出たのは、奴良組の中でも長老格にあたる関東大猿会の狒々(ひひ)。だが、ぬらりひょんとともに数々の戦いを乗り越えてきた彼でさえも、あっけなく命を落としてしまうことに。その遺骸には鋭い刃物で切り刻まれたような傷痕が……。 奴良組に緊張が走る。事態を重く見た鴉天狗は、リクオに 鴆(ぜん)、総大将のぬらりひょんにまでも護衛をつけた。しかしまったくおかまいなしなのがぬらりひょん。鴉天狗が護衛につけようとした牛頭丸(ごずまる)、馬頭丸(めずまる)を振り切るとふらりと浮世絵町へと繰り出してしまう。付き従うのは、納豆小僧ただ一人。そこを見計らったように現れたのは、毒の風を鞭がしなるような音を立てながら操る怪異妖怪ムチ。まさにその刃がぬらりひょんを襲おうとしたしたその時、偶然に居合わせたゆらがその窮地を救う!
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第12話 玉章と七つの影
ゆらの助けによってムチの不意打ちから逃れたぬらりひょん。ゆらは式神の武曲(ぶきょく)、 貪狼(たんろう)、禄存(ろくそん)を繰り出し必死に老人を護ろうとこころみるも、しだいにムチの放つ毒を浴びせられていく。その戦況をじっと見守っていたぬらりひょんだが、ムチの自信に満ち溢れた戦いぶりに一言「風情がないのぉ。お前…」と言い放つと、その力の片鱗を示すことに。ムチの放つ必殺の風“怪異・八陣風壁(かいいはちじんふうへき)”をぬらりとかわす、いや風に乗るかのように受け流すと、その姿はムチの眼前にと迫る。“真・明鏡止水”――。 ぬらりひょんの引き抜いたドスは、一刀のもとにムチの体を貫いていた。そのころリクオの前には一人の青年が姿を現していた。彼こそ四国八十八鬼夜行を従えし隠神刑部狸玉章(いぬがみぎょうぶだぬきたまずき)。玉章は奴良組本領の浮世絵町を奪うべく、四国より七人同行(しちにんどうぎょう)を率いやってきたのだ。彼は「自分はこれからすべてを手に掴む」とリクオに宣戦を布告とも取れる言葉を残すのだった。
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第13話 総集編 牛鬼様謀反、顛末
ムチとの戦いの後、忽然と姿を消してしまったぬらりひょん。そのことは奴良組のさらなる動揺を誘うことに。父を殺され復讐に燃える猩影(しょうえい)が先陣を切るべく戦いの支度を整える一方で、奴良組の末端の妖怪たちは七人同行(しちにんどうぎょう)の影に怯えた。そのころ七人同行たちは奴良組のシマをひとつひとつ荒らし始めていた。その一人、犬鳳凰(いぬほうおう)は、カナとゆらを襲うが、2人の窮地を黒羽丸(くろうまる)、トサカ丸、ささ美の三羽鴉が救う。そんな中、リクオは祖父不在の組を取り仕切ることを決意する。リクオにとってクラスメイトたちをはじめとする人間を大切に思うと同時に、奴良組の妖怪たちもまた大切な仲間である。人間も妖怪もみんなを不安に陥れる者は絶対に許せない存在なのだ。まずリクオは動揺する配下の者たちに一枚岩に結束してことにあたることを求める。そしてシマの警備の強化を指示するのだった。そのとき、不意にリクオの前に再び姿を見せる玉章(たまずき)たち。いよいよリクオとの対決の火蓋が切って落とされようとしていた。
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第14話 隠神刑部狸玉章の手招き
四国八十八鬼夜行(しこくはちじゅうはっきやこう)を束ねる者にして八百八狸の長を父に持つ男、隠神刑部狸玉章(いぬがみぎょうぶだぬきたまずき)が再びリクオの前に現れた。玉章はリクオに「今回は正式な挨拶のために来た」と告げると、あらためて奴良組の乗っ取りを高らかに宣言する。それにまず異を唱えたのは、父を殺されし「関東大猿会」の二代目、猩影(しょうえい)。刀を振りかざし玉章に斬りかかると同時に雪女、牛頭丸(ごずまる)、馬頭丸(めずまる)も一斉に攻撃に加わる。だが、七人同行(しちにんどうぎょう)の一人、犬鳳凰(いぬほうおう)の火炎の前に蹴散らされてしまうのだった。この襲撃の事態を重く見たリクオは、よりいっそう組の守りを固めようと決意する。加えてカナ、清継をはじめ学校の仲間たちもまた、清十字団の合宿と称して屋敷へ招くことを決める。 そのころ、ぬらりひょんの姿は遠く四国の地にあった……。山深い山中で供の納豆小僧にぬらりひょんが語った言葉とは――?一方、浮世絵町では玉章たちを追跡する牛頭丸、馬頭丸の姿があった。2人が追っていたのは、犬鳳凰との戦いの中で放った1本の糸。その糸は七人同行の一人、岸涯小僧(ガンギこぞう)の背中に張り付いていた。
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第15話 劫火と驟雨
良太猫が営む化猫屋に新顔の鉤針女(かぎばりおんな)が入店した。一見、気のいい店員のように見えるがその実、七人同行の一人である。そのころ奴良組では警備の間をくぐり抜けるようにまた一人、四国の者に襲われる。今回被害にあったのは幹部・もったいなしお化けと配下の者。まるでその動きが敵に筒抜けになっているかのような手際の良い襲撃だった。身内に裏切り者がいる? 奴良組にはさらなる緊張が走る――。一方、ゆらは浮世絵町にうろつく妖怪の気配を察知していた。ゆらに正体を見破られたのは鉤針女。「奴良組にも察知されなかったのに、なぜ人間の小娘に」動揺する鉤針女はゆらの始末を決意する。だが、一度スミを付けてしまった鉤針女はその正体をリクオにも見破られてしまうことに。そしてリクオの屋敷で合宿を張る清継たちはと言うと、相も変わらず陰陽道の技を鍛錬する日々を送っていた。その鍛錬に巻き込まれているのは、清継たちの護衛の任につく雪女。島からの熱い愛の視線を浴びながら、「何故、妖怪の自分が陰陽師の技を積まなければならないの?」と涙ながらにその鍛錬に耐えるのだった。
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第16話 闘女、百花繚乱
玉章(たまずき)の攻撃がいよいよ本格的になろうとする中、奴良家で清十字団の合宿を行っていた清継が思いついたかのようにある調査結果を告げていた。浮世絵町で何者かが社や祠の破壊を続けていると言うのだ。さらに清継は、これらは妖怪たちの仕業に違いないと断言する。この話を聞いたリクオは、玉章たちの真の狙いに気付くことに――。その頃、四国の地に足を踏み入れたぬらりひょんは、遠いかの地である妖怪と300年ぶりの再会を果たす。 玉章の目的を知ったリクオは、氷麗に青田坊、三羽鴉を率いまだ無傷の社に玉章の陽動が開始されるのと同時に向かった。すでにそこには「この社に妖怪が現れるに違いない」と清継と島が訪れており、現れるであろう妖怪を今や遅しと待ち伏せていた。そこに姿を見せたのは、祠や社に棲まう土地神を専門に襲う妖怪、袖モギ様。袖を引かれつい振り向いて彼の目をみてしまうと、呪われてしまうという。妖怪探しに夢中になる清継は、不意に袖を引かれるままに振り向こうとしたその時、意外な人物が助けに入る。
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第17話 気高き魂、紅に燃ゆ
袖モギ様による土地神殺しが進むさなか、人々から忘れさられていた祠がまだ残っていた。土地神は千羽様。かつては病を治す土地神として人々からの信仰も厚かったという。今ではお参りする人も少なくなってしまったが、ただ一人、鳥居夏実は今でも千羽様を敬い慕っていたのだった。地蔵、祠荒らしが清十字団でも取りざたされる中、しばらく千羽様をお参りしていなかったことを思い出した夏実は、たった一人でお参りに祠を訪れる。そこに待ち伏せていた袖モギ様は、夏実のお参りする姿を見かけると、夏実の袖を掴み呪いをかけてしまう。袖モギ様の呪いを解くには袖モギ様を倒すほかない。黒田坊の怒りの剣が、土地神を荒らす袖モギ様の体を貫いた。しかしそれでも不敵な笑みを浮かべる袖モギ様。死を前に一度かけた呪いは命を削ることを告げて消えていった。呪われた夏実はこのまま死んでしまうのか? その時、夏実を心配するクラスメイトたちの想いが力を失いかけた千羽様に治癒の力をもたらしていく。
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第18話 夏実と千羽様
300年ぶりに四国妖怪の長、隠神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき) との再会を果たしていたぬらりひょんは、このたびの四国妖怪襲来の真相を古き友より告げられる。88番目の嫁の8人目の息子にして、隠神刑部狸の神通力を最も強く受け継いだ玉章(たまずき)が、七人同行を率い、妖怪の主になろうとしていることを。その頃浮世絵町では、袖モギ様を失った玉章が次なる手を繰り出そうとしていた。そこに割って入ったのが、七人同行(しちにんどうぎょう)の中でも、血気盛んな妖怪・犬神。まだ直接攻撃を仕掛けるのをしぶる玉章を強引に説得すると、リクオの首を取るべく行動に移す。まず犬神は、清十字団に旧校舎の講堂に妖怪がいるとのニセの妖怪情報を流すことによって、屋敷で奴良組の妖怪たちに守られるリクオたちをおびき出す。憎み恨む想いが強ければ強いほど、秘められた力を発揮するという犬神。クラスメイトたちに慕われるリクオに対する憎悪の念が頂点に達したとき、その真の姿をさらけ出す。廃墟となった講堂で、凶犬の咆哮がこだましていく――。
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第19話 凶犬、廃墟に咆哮す
憎しみが増せば増すほどその力は増大する。ついに真の姿を見せた犬神のそのもげた首が、リクオに攻撃の刃を向けてきた。青田坊の怪力、黒田坊の暗器、雪女の吹雪、首無の糸が犬神の攻撃を必死に防ぐも、犬神のパワーはますます増すばかりだった。人間社会に認められなかった自分を妖怪として認め、手を差し伸べた玉章(たまずき)。喩えそれがだまされていると分かっていても、玉章への忠誠心は揺るがない。対して人間社会の溶け込んでいるリクオ。そのリクオを妖怪ばかりではなく人間までもが慕い思いやりの心を持っている。それは犬神を嫉妬させ、憎しみの心にますます火をつけることになるのだった。そしてついに雪女たちのあらゆる攻撃を跳ね返すほど力をつけてしまった犬神。その時、旧校舎は真の闇に包まれようとしていた。――「闇は幕引きの合図だ……。」 覚醒した夜のリクオが反撃の狼煙をあげる!
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第20話 幕は闇より開く
父を四国妖怪に殺された猩影{しょうえい}はリクオに不満を持っていた。自分に父のあだ討ちを命じない、組としてもあだ討ちをしようとしないことに妖怪としての血が収まらないでいたのだ。一方、浮世絵町の土地神の大半をしとめ、犬神の攻撃で奴良組の戦力を見極めた玉章(たまずき)は、いよいよ奴良組への総攻撃を決め、配下に檄を飛ばす。そして浮世絵町に増大する妖気は、奴良組の者たちにいよいよ四国妖怪の攻勢が始まることを予感させていた。そのさなか、猩影は単身、四国妖怪のアジトに攻撃を仕掛けた。父の仇を唱える猩影だったが、手洗い鬼に返り討ちに遭ってしまう。この事態を知ったリクオは、四国妖怪を迎え討つ意を固める。しかし、奴良組の幹部のほとんどが先代との盃を交わした妖怪たち。五分と五分の対等では支持こそするものの付き従うわけにはいかなかった。 「ともに行動するためには七分三分の盃を交わす必要がある」 鴆(ぜん)にこう諭されたリクオは、自分に付き従う者たちだけで戦いに討って出ることを決める。「いよいよ僕らの時代の夜明けだ」 と、ほくそえむ玉章に、リクオはどう戦う――?
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第21話 七分三分の盃
「己の分をわきまえて生きていってほしい」 隠神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき)は、そう願いを込めて野心高き息子に「たまずさ」と名前を付けた。しかし玉章は、王座を狙う者の意の「たまずき」と名を改めてしまう――。隠神刑部狸から一連の話を聞き終えたぬらりひょんたちは急ぎ浮世絵町に引き返すことに。そのころ四国妖怪によって秩母の砦を陥落させられた奴良組は、いよいよ四国妖怪の総攻撃が開始されたことを知った。これを迎え討つべく準備を整えるリクオに奴良組幹部の一つ目が立ちはだかる。「わずかな手勢で迎え撃って、勝ち目はあるのか?」 リクオの出陣を差し止めようとばかりに一つ目がリクオにこう問い詰めた時、黒羽丸ら三羽鴉たちより急を知らせる一報が舞い込んだ。「南東、北西よりただならぬ妖気が奴良組に迫っている。」決戦の時がもうそこまで迫っていた――。
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第22話 暁に
妖怪たちを一刀のもとになぎ払い、斬り捨てる妖刀“魔王の小槌”。玉章(たまずき)の自信と畏の源は、妖怪を殺すことで力を無限に増すと言われるその刀にあった――。自らの百鬼夜行を率い、四国八十八鬼夜行との決戦に挑む奴良リクオ。先行して敵情を探ろうとする牛頭丸(ごずまる)、馬頭丸(めずまる)に、玉章の魔王の小槌が振り払われようとしたとき、四国妖怪の長の前にリクオはその姿をあらわす。自らが囮とばかりに玉章へと一歩一歩、ぬらりくらりと分けて入ってくるリクオに四国妖怪たちは手が出せない。いや、その存在に誰一人として気づかないでいる。畏と存在感で敵を圧倒し、その姿を見えなくする――。 これこそがまさにぬらりひょんの畏であり、ぬらりひょんの力なのだ。それでもなお、リクオに攻撃を仕掛ける妖怪がいた。玉章の側近の夜雀(よすずめ)。七人同行(しちにんどうぎょう)の一人である。夜雀は、自ら持つ羽をわずかな隙間からでも相手の目に入り込ませ、突き刺し、相手の周囲を闇に包むワザを持つ。その夜雀の攻撃はリクオの光を失わせる。そこに助けに入るのはリクオの側近、雪女。雪女は捨て身とも思える戦法で夜雀の攻撃を封じると、その撃退に成功する。 ついに、リクオの姿は玉章の眼前に迫るっ!
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第23話 闇と氷
奴良組と四国妖怪との壮絶な戦いも、しだいに奴良組のほうに戦況が有利に傾いていく。 河童のミズチ球が崖涯小僧を呑み込み、抑えていた力を解放した青田坊が手洗い鬼を圧倒。そして毛倡妓が鉤針女を、首無が犬神を追い詰める・・・。いよいよ後がなくなる玉章(たまずき)だが、彼から余裕の笑みが消えることはなかった。彼の畏れの源、神宝”魔王の小槌”がついに振り払われるときがきたのだ。かつて父の隠神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき)から牙を抜き、四国妖怪の力を失わせし妖刀。斬った妖怪の妖力を吸い取り成長するという刀を玉章はためらうことなく振りかざす。 これこそまさに玉章の畏れ。恐怖におののき付き従ってきた四国八十八鬼夜行を次々と斬り続けると、刀の力は覚醒し、やがては完成形を見るまでになっていく。――真の畏れとは、恐怖で相手を付き従えることではない。強くて、小粋で、どこか憎めない。力は上であっても敵に憧れの心を宿らせることこそ、ぬらりひょんの畏れ。この畏れをもってリクオは玉章の魔王の小槌と対峙する。
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第24話 魔王の小槌
覚醒した魔王の小槌。そのころ空は闇の時を終え白み始めていた。 ただならぬ妖気がリクオと玉章(たまずき)を包む。頂点に立とうとする者同士の妖気のぶつかり合いが繰り広げられていた。 そして玉章の刃がリクオの身体を捕らえた時、闇も終焉を迎える。――昼のリクオの姿になったら、玉章に勝つことはできない――誰もがそう考えた時、リクオと刃を交え、その力量を肌で知る男、牛鬼は想う。「真昼に月が昇るように、気付かぬだけで月はいつも空にある。お前のなかにもいつも空は存在している」牛鬼のその想いに呼応するかのように、深手を負い息も絶え絶えしいリクオにひとひらの桜の花びらが舞い落ちる。